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「ユーキは逸材。でも、タツの成長も大したものだよ」石川祐希を育てたイタリア熱血漢が25歳大塚達宣の未来を予言「タツは自分の道を見つけた」
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弓削高志Takashi Yuge
photograph byTakashi Yuge
posted2025/12/13 11:03
石川祐希を擁するペルージャをホームに迎えたミラノ大塚達宣。石川が欠場したことで日本人対決は叶わなかったが、試合後に言葉をかわした
試合後、石川と大塚は互いに歩み寄り、健闘を称え合った。
石川は4年を過ごした愛着あるアリーナへの帰還を喜び、不出場を残念がりながら、古巣でプレーする大塚評を口にした。
「今シーズンの大塚選手はここまでいい数字を残してるし、チームの中心となっている。今季のミラノは安定したプレーをしているチームで、そこはうちの監督も指摘していた部分。データから(対抗策を)意識して臨んで、1セット目からやるべきことをきっちりできたと思います」
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一方、欧州王者に正面からぶつかった大塚はペルージャの強さを認め、率直な言葉でゲームを振り返った。
「ペルージャには自分たちにはない、力強さとか高さがあった。それに対抗していく術を見つけるのが自分たちの課題です。サーブで攻め込まれて、ハイボールの状況が増えたときにどうやって点を取っていくか。何度もつないで最後に取るというのが僕たちのスタイルだと思うので、そこをもっと追求していきたいというのはすごくある」
2人の成長を語るに最もふさわしい人物といえば、ミラノの監督ロベルト・ピアッツァだろう。パリ五輪までの4年間で石川を鍛え上げた後、昨季からは大塚を指導する。
「今夜、我々はペルージャから丸裸にされた気分だよ。普段練習でもしないようなミスが多かった。向こうのサーブが冴えたのは確かだが、うちはレセプションをもっとうまくやるべきだった」
昨季と比べ戦力一新されたチームで大塚の貢献度は、と尋ねようとしたとき、ファンサービスを終えた石川が挨拶にやってきた。
ピアッツァ監督は石川を強引に引き寄せ、笑いを誘う。
「ほら、ユーキより私のほうがイケメンだろう、ガハハ」
豪快なジョークで石川を見送った後、激情家の指揮官は一転、真面目なトーンで愛弟子2人について語った。
「ユーキはプレーヤーとして本当に大成した。彼自身が稀に見る逸材だからな。タツの成長ぶりも大したものだよ。タツは真の一流プレーヤーになるためのすべてを備えている。不足しているのは経験だけだ。ユーキもまた年月をかけてハイレベルの経験を会得したのだ。タツはユーキより海外に出るのが遅かったかもしれない。それでも、タツは今、ここで彼だけの道を見つけてるところだよ」



