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西武・黒木優太「見返す、という感情は全くない」トレード、戦力外、育成契約から中継ぎでフル回転…古巣・オリックスと岸田護監督への特別な思い 

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市川忍

市川忍Shinobu Ichikawa

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posted2025/12/15 17:00

西武・黒木優太「見返す、という感情は全くない」トレード、戦力外、育成契約から中継ぎでフル回転…古巣・オリックスと岸田護監督への特別な思い<Number Web> photograph by JIJI PRESS

育成契約から這い上がり、ライオンズのリリーフ陣に欠かせない存在になった

 当時の岸田コーチとよく話したのは「カーブの使いどころ」だったという。

「実際に試合で投げてみて、投げるカウントや、その前後のボールとの兼ね合いなどを見て。登板のあとはすぐに岸田さんと分析して、また改善して……。トライアンドエラーを繰り返してやっと自分のものになったという感覚が大きいので、思い入れの強い球種です」

“恩師”岸田監督からかけられた言葉

 コーチと二人三脚で、苦労して習得しただけに自信もある。

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「シーズン中は前半戦で、相手打者にかなりカーブのイメージをつけることができたと思います。そのおかげで、後半戦は違うボールで空振りを取ろうというふうに考え方を切り替えることができました。前半戦での自分への評価を逆手に取って、裏をかけた。それも結果を残せた大きな要因だったと思っています」

 相手打者や相手チームが「高く評価してくれているかどうかはわからないですけどね」と黒木は付け加えたが、前半戦で張った伏線が、後半戦の投球に有利に働いたことは間違いない。

「オリックスとの試合で会うと、岸田さんはいつも『がんばってるな!』と言葉をかけてくれていました。僕のほうは『最近、痩せたんじゃないですか?』とか、冗談を言うくらいなんですが」

 自分を気にかけてくれている元指導者の思いは、しっかりと伝わっていたと振り返った。

手薄になるブルペン陣を担う存在に

 このオフ、ライオンズは今井達也と高橋光成という先発のエース格2人がポスティング移籍で流出することが濃厚だ。代わってこれまでクローザーを任されていた平良海馬が先発転向し、大黒柱を担う公算だ。

 一方でブルペン陣は手薄になる。確かな実績がある黒木には、前シーズン以上の活躍が求められることだろう。「ライオンズで優勝したい」と契約更改の場で2度、力強く語った黒木。その願いが叶うことを期待したい。

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