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西武・黒木優太「見返す、という感情は全くない」トレード、戦力外、育成契約から中継ぎでフル回転…古巣・オリックスと岸田護監督への特別な思い
posted2025/12/15 17:00
育成契約から這い上がり、ライオンズのリリーフ陣に欠かせない存在になった
text by

市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
JIJI PRESS
華やかなスポットライトを浴びる選手の一方で、タイトル獲得こそなくとも地道にチームに貢献しファンの信頼を勝ち得た選手たちがいる。
2025年の埼玉西武ライオンズでいえば、来る日も来る日もブルペンで肩を作り、戦況を見守りながら登板に備えた中継ぎ投手陣だろう。そのなかの一人、今年ライオンズの一員となった黒木優太投手に話を聞いた。
戦力外、育成契約を経て…
黒木は2017年、ドラフト2位でオリックスに入団。オリックス時代は4シーズンで通算133試合に登板し57ホールドポイントを記録した。2019年のシーズ前に肘を故障しトミー・ジョン手術を受けたものの、見事に復活しセットアッパーとして活躍した。
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23年11月には交換トレードにて北海道日本ハムへ移籍したが、わずか1シーズンで戦力外通告を受け、その後、ライオンズと育成契約を交わしている。
移籍1年目となった今季はオープン戦で4試合に登板して無失点。開幕前に育成から支配下登録となり29試合に登板、移籍後初勝利も記録した。
「僕の場合は移籍に加え、育成契約だったので契約が決まった瞬間からずっと飛ばして練習してきました。正直、途中でバテることも自分でわかっていましたが、それでも飛ばして練習して……。シーズン中は思った通り途中でバテましたね、アハハ」
充実したシーズンを送ったのだろう。苦笑いにも、晴れやかな思いが透けて見えた。
淡々と、確かに結果を積み重ねて
ビハインドの試合だけではなく、リードしている場面や回跨ぎでの登板など、チーム事情による起用法にもベテランらしく順応した。特にランナーを置いた場面でも顔色ひとつ変えず、淡々とボールを投げ込む姿からは、数々の修羅場を潜り抜けてきた確かな実績を感じた。

