山本由伸を“ドラフト指名しなかった”西武の理由「このレベルなら毎年出てくるだろう」源田壮亮もいた9年前のドラフト会議、渡辺久信が明かすウラ側 

　源ちゃんのプレーをチェックするために、ドラフトシーズンには西武の二軍とオープン戦を組んでいる。則本のときにも記したが、プロ側が気になる選手がいるときによく使う手で、スカウト陣が勢ぞろいする。このときも守備の評価はかなり高く、バッティングはどうか……という感じだった。

　当時を考えると、プロ入り後にバッティングが伸びた。おそらくは辻監督に言われたと思うが、思い切り引っ張ることを覚えて、バッティングが変わってきた。ただ、根本的には守備の選手で、源ちゃんが九番を打って、上位につなぐ役割ができるときは上位打者が揃っているとき。あのタイプにしてはバントが得意ではないので、二番に入ると、その良さが消えてしまうようにも思う。

なぜ山本由伸は指名せず…？

　5位でHonda鈴鹿の平井克典を指名した。サイドスローであるが、ストレートが強く、短いイニングでの中継ぎとして期待をかけた。2025年に戦力外通告を受けたが、1年目から4年連続で40試合以上の登板を果たすなど、どんなときもチームのために投げてくれた。

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　この頃から、中位～下位で社会人投手を指名することが増えていく。これは意図的にやっていることで、詳しいことは2018年の森脇亮介のところでまたお話ししたい。

　さて……、2016年のドラフトと言えば、オリックスの4位で都城高の山本由伸が指名されている。「日本一の投手」から「世界一の投手」に成長した大エースである。西武に限らず、多くの球団が指名するチャンスがあり、うちもリストアップしていた。

　私は都城高のブルペンにまで足を運び、彼のピッチングを見ている。正直に言えば、「このぐらいのレベルであれば毎年出てくるだろう」と感じていた。リリースの感覚、特に変化球を投げる感覚が素晴らしかったが、体がそこまで大きくはない。評価としては4位前後。まさに、オリックスが指名した通りの評価である。山本自身の努力によって、ここまでのピッチャーに成長したのではないだろうか。

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