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山本由伸を“ドラフト指名しなかった”西武の理由「このレベルなら毎年出てくるだろう」源田壮亮もいた9年前のドラフト会議、渡辺久信が明かすウラ側
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渡辺久信Hisanobu Watanabe
photograph byGetty Images
posted2025/12/17 11:01
ドジャースのワールドシリーズ連覇に大きく貢献した山本由伸
そういう意味で、プロで大きく変わったなと感じるのが、2025年にクローザーとして日本一に貢献したソフトバンクの杉山一樹だ。プロ入り当初はストライクを取るのに苦労していたイメージがあるが、ここ数年は自信を持ってストライクゾーンに投げ込んでいる。
じつは、西武と杉山には縁がある。スカウトの竹下潤が、杉山の出身校である駿河総合高(竹下の在籍時は静岡市立商業)の先輩に当たる関係で、彼が高校を卒業するときに三菱重工広島を紹介しているのだ。
仮に西武が杉山を指名したとしても、今のような姿になったかというとそれは誰にもわからない。人の成長というのは、そういうものである。
源田チェックのために二軍戦を組んだ
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この年の3位がトヨタ自動車の源田壮亮。他球団の動向を気にしながら、「指名するなら3位。4位ではほかに獲られる」という判断から、この順位となった。源田の加入は、その後の西武の歴史を変えたと言っても、過言ではない。源ちゃんがいなければ、2018 年、2019年の連覇もなかっただろう。
ショートの守備だけは、プロですぐに使えると確信していた。一歩目の早さ、打球に対する反応、バウンドの合わせ方、ハンドリングの柔らかさ……、すべてが一級品。特にバウンドが合わなかったときの対処がうまく、瞬時の判断で前に出たり、後ろに引いたり、柔軟に対応できる。
バッティングは、トヨタ自動車で九番を打つようなタイプでセーフティバントをしたり、逆方向に押っ付けたり、足を生かすことに徹していた。社会人は都市対抗も日本選手権も大きな大会は一発勝負のトーナメントで、トヨタ自動者としては勝たなければいけない。源ちゃんも、勝つための野球を意識して、強く引っ張って飛ばすようなことはしていなかった。

