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悔しがる木原龍一に、笑顔の三浦璃来がジェスチャーをして…「はい、話になりました」GPファイナル優勝直後、和やかなりくりゅうが“ジョーク”に込めた思い
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田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2025/12/09 11:02
ミラノ五輪前哨戦となるGPファイナルで優勝を果たした三浦璃来&木原龍一
「話にならないですけど…」ジョークに込められた思い
三浦に向かって両手を合わせたのは、ミスしたことの謝罪の意味だったのか。そう聞かれた木原は頷いて、こう答えた。
「3連続(ジャンプで)手ついちゃったので、そこは大きな得点源なので。(三浦は)跳んでるのわかっていたので、僕がちょっと失敗しちゃったら話にならないですけど」とそこまで言うと、木原は噴出して笑い崩れ、「最後まであきらめてはいけないという思いがあったので、しっかり気持ちをきりかえてやりました」と真顔に戻って締めくくった。
「話にならないですけど」と言った時に木原が笑い出したのには理由がある。昨シーズンのGPファイナルで2位に終わった後で、「(自分たちの演技が)はっきり言って話にならないレベル」と発言し、悔し涙を見せたことが多くの媒体で取り上げられ、そのことを本人も意識していたのだ。
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だがそんな思い出も、ジョークのネタにできる昔の話になった。顔なじみの記者に「去年とはだいぶ違いますね」と声をかけられると、木原は「はい、話になりました」と笑顔を見せた。
「スケーターとしてまた少し強くなれたかな」
「この日本の地でGPファイナルで私たちらしい滑りができたので、本当に嬉しく思います。ここにいる皆さんほんとに素晴らしいプログラム。会場も素晴らしい。スケーターとしてまた少し強くなれたかなっていうふうに思っています」三浦が会見で、そう喜びを表現して他のペアのことも祝福した。
このメンバーで再び競うのは、次はいよいよ2月のミラノの大舞台になる。
「オリンピック前の最後の大きな国際大会なので、こうして表彰台に上がれたことは大きな自信になりましたし、またこうして表彰台に戻りたいなという思いも出てきましたし、またみんなと試合ができるのが楽しみだなという気持ちもあります」と木原はコメントした。
オリンピック前哨戦ともいえるこのファイナルでトップに立ったりくりゅう。本番の勝負は、いよいよ2カ月後に控えている。
(撮影=榎本麻美)


