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[対話が勝負を分ける]宮本恒靖「PK戦エンド変更の真相」
posted2025/12/09 09:00
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Kiichi Matsumoto
【KEY POINT:興味】
日本サッカー史において、いや日本スポーツ界全般に広げても選手の語学力による直談判が劇的すぎる勝利を呼び込んだ初めてのケースではないだろうか。
2004年夏、中国で開催されたアジアカップ、ヨルダン代表との準々決勝。強い反日感情によって日本代表へのブーイングが吹き荒れるなかPK戦にもつれこみ、キッカー1人目の中村俊輔、2人目の三都主アレサンドロはピッチに足を滑らせていずれも失敗してしまう。そのとき宮本恒靖キャプテンがマレーシア人主審にエンド変更を訴え、粘り強い主張が認められたことによって流れが変わったのだ。
現在JFA会長を務める宮本は、サッカー競技規則制定にかかわるIFAB(国際サッカー評議会)の関係者が来日した際にこのことが話題にのぼったと明かす。
「『レフェリーに何て言ったの?』と聞かれて、まず『This is not fair』だと。そうしたら『両チームにとってフェアな状況で試合をさせることをレフェリーは最も優先させなければならない。そのキーワードがまずあったから、耳を傾けたんじゃないか』との見解でした。もし『こんなに芝生が悪いじゃないか』などと違うアプローチだったら、聞く耳を持ってくれなかったのかもしれませんね」
そのシーンを振り返ってみると宮本キャプテンは“別に抗議じゃないですよ”との意を示すように両手を後ろに組んでジリジリと距離を詰めている。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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