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井上拓真は「この勝利で“尚弥の弟”からブランドの意味が変わった」元世界王者のプロモーターがホンネ評価「次に誰と戦うのか? みんな興味が湧く」 

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2025/11/29 17:00

井上拓真は「この勝利で“尚弥の弟”からブランドの意味が変わった」元世界王者のプロモーターがホンネ評価「次に誰と戦うのか? みんな興味が湧く」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合前には那須川有利とも予想していた伊藤雅雪氏だったが、井上拓真の対応力と意地に感嘆したという

「正直、10回が終わったときには、拓真の勝ちだなと思いましたけど、出て行きましたよね。本来であれば、負けている天心が先に出ないといけないのに……。エクスキューズを残さないように、絶対にポイントを取り切るという堅い意志が見えました。

 頭の片隅に安全運転でゴールテープを切ればいい、という考えがあれば、あそこでは行けません。これが気持ちの差。負けると、もうあとがないかもしれない拓真と、そうではない天心との違いかなって。ボクシングの技術以上に、作戦とそれを実行する思いの強さが勝敗を分けたと思います」

井上拓真のブランドの意味が変わった

 最終12回を終えた後、井上がコーナーに上がり、雄叫びを上げていたシーンは伊藤の胸にも深く刻みこまれている。「相手が天心だから強くなれた」というコメントを聞き、あらためて納得できた。3-0(117-111、116-112、116-112)の明確な判定勝ちで、文句なしに知名度のあるスターの那須川を退け、世界王者に返り咲いた価値は大きい。多くの興行を手掛けるプロモーターの目線で伊藤は、誤解を恐れずにはっきり口にする。

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「ブランドの意味が変わったと思います。これまで『井上尚弥の弟』だったものが、この一戦で『天心に勝った拓真』になりました。拓真の個人名だけでも、大きな興行も成り立ちます。次は誰と戦うのか、みんな興味が湧きますよね。

 堤聖也(角海老)へのリベンジマッチもありますが、個人的に面白いと思うのは拓真-クリスチャン・メディナ。武居由樹(大橋)からWBO世界王座を奪ったメキシカンは、今のバンタム級では一番強い相手。名前が出ている井岡一翔戦も実現可能性はあるし、黄金カードかもしれません」

那須川も評価は下がらない

 勝者の井上拓真がバンタム級戦線で最も脚光を浴びる存在となったのは、多くの人が認めるところ。では、格闘技の公式戦55戦目で初黒星を喫した那須川の評価はどうなのか。

「天心の可能性はすごく感じました」

 伊藤は那須川のボクサーとしての評価も、スター性を持つその商品価値も、今回の敗戦では下がらないという。なぜか——。

〈全2回の1回目/つづく

#2に続く
敗戦も「那須川天心の“商品価値”は下がっていない」元世界王者がプロモーター目線で見た“可能性”とは?「彼の人間臭さが出るファイトを見たい」

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