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ツーシームで勝負をかける益田武尚にキャッチャー再挑戦の二俣翔一…秋季キャンプで目立ったカープを救うかもしれない成長株とは
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前原淳Jun Maehara
photograph bySankei Shimbun
posted2025/11/24 06:00
ツーシームを武器に4年目の飛躍を期す益田
当初はユーティリティー性を高め、捕手登録の選手を2人にしつつベンチ入り枠を有効活用する狙いだと見られていた。首脳陣も同じ考えだっただろう。いわば「捕手1人分」ではなく、「2.5人体制」にするための0.5人分の期待だったに違いない。
ただ、限られた期間でも、捕手としての成長は目を見張るものだった。キャッチング、ブロッキング、スローイングと、一定の水準にまで上げてみせた。チームとして今年最後の対外試合となったロッテ戦は先発マスクをかぶり、6回には二塁への盗塁を刺し、7回には大きな第二リードをとっていた22年のパ・リーグ盗塁王・二走の高部瑛斗をウエストボールからアウトにした。強肩だけではなく、終始落ち着いた守りでフル出場した二俣の想定以上の成長ぶりに新井監督も驚いた様子を隠せなかった。
「キャッチャーとしての守備、投げる、止めるというのは及第点を与えていいくらい、すごく成長しています。フェニックス・リーグよりも秋のキャンプでより成長したなと感じています。今季の終わりぐらいに本人に打診して練習に入ったんだけど、そこからフェニックス(リーグ)、秋季キャンプと、こちらが思っている以上にできるというものを見せてくれた。楽しみですね」
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特殊なポジションであるため、過度な期待はできない。それでも若手捕手が伸び悩む広島にとって、二俣が見せた適応ぶりはチームの戦術の幅を広げる可能性を感じさせた。
若手の成長を心待ちにする指揮官
ほかにも先発転向した岡本駿や辻大雅、侍ジャパンに追加招集された佐々木泰や佐々木と同期で同学年の渡辺悠斗の名前が指揮官から挙がった。
「ここにいる選手が来年どれくらい出てくるか、チームの底力を押し上げていく大切な部分だと思います。まだ秋のキャンプが終わったばかりなんですけど、2月を楽しみにしたいと思います」
実り多き秋をへて、各自がどう冬を越えて春を迎えるか。ともに切磋琢磨してきた日々を終えた“若鯉”たちが、自分との戦いへと向かっていく。
