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ツーシームで勝負をかける益田武尚にキャッチャー再挑戦の二俣翔一…秋季キャンプで目立ったカープを救うかもしれない成長株とは
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前原淳Jun Maehara
photograph bySankei Shimbun
posted2025/11/24 06:00
ツーシームを武器に4年目の飛躍を期す益田
2年目の24年から右腕を下げたフォームの特性が生かされた。アナリストから出された投球の質を示す数値はリーグトップクラス。11月15日に行われたロッテとの練習試合では、無死一塁をツーシームで併殺で切り抜けるなど1回1安打無失点に抑えた。10月のフェニックス・リーグ初登板から10試合(8回)連続無失点で対外試合を終えたことになる。
「理想はパワーピッチャーだけど、それで3年間通用していない。せっかく腕を下げたのに、自分の理想ばかりを追い求めても損をするだけ。自分がこの世界で生きる道を考えたら、ゴロアウトを増やして、ゲッツーを取って、ピンチの場面で行ける投手になるんだと、吹っ切れました」
グラウンドボールピッチャーとして生きていく覚悟を決めた。周囲の評価とともに、結果を積み重ねられたことが大きかった。
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「ちょっと自信にしてもいいのかな」
完璧を求めすぎていた右腕が珍しく自分を認めたひと言は、精神的にも少し強くなった証でもあった。
捕手への再挑戦
野手では、二俣翔一が4年ぶりの再挑戦となった捕手で目に見える成長を見せた。もともと捕手として20年の育成ドラフト1位で広島入り。1年目はウエスタン・リーグで捕手として16試合に出場した。だが、1年目に両足の内転筋を負傷したことに加え、高い打力を買われて内野にコンバートされた。
サードから年々ポジションの幅を広げ、今季は6つのポジションを守るなど、一軍でバッテリーをのぞくすべてのポジションを経験してきた。
チームの順位が決まったシーズン終盤、若手が多く起用された中で22歳の二俣は二軍降格となった。さらに出場の幅を広げるため、捕手に再挑戦する準備のためだった。
「『できません』で終わるのではなく、なんとか自分のものにできるようにやっていきたい」
みやざきフェニックス・リーグから捕手として出場し、秋季キャンプでは捕手以外のポジションを守っていない。早出練習から居残り特守まで、石原慶幸バッテリーコーチに基本をたたき込まれた。
当然、捕球体勢や送球までの足の運び方、重心移動など、動きはまるで違う。4年前の感覚をよみがえらせるのではなく、新たな感覚として体にたたき込んだ。

