テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER

カーショウ絶賛「効率的。今のヨシなら150球でも」山本由伸がブルージェイズ打線を制圧…“敵地ファンに神対応”大谷翔平から主役を奪った日

posted2025/11/23 06:00

 
カーショウ絶賛「効率的。今のヨシなら150球でも」山本由伸がブルージェイズ打線を制圧…“敵地ファンに神対応”大谷翔平から主役を奪った日<Number Web> photograph by Vaughn Ridley/Getty Images

ワールドシリーズ第2戦で完投勝利を挙げた山本由伸。この日からWS主役の座を、大谷翔平から奪い始めた

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柳原直之(スポーツニッポン)

柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara

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 ドジャースが21世紀初の連覇を果たしたワールドシリーズ。ポストシーズンを含めた全試合を取材した記者が、大谷翔平や山本由伸にブルージェイズなど、テレビに映らなかったWSの全事実をお届けする。〈NumberWebレポート/随時配信〉

第1戦:大谷はWS第1号にも笑みはなかった

 第121回のワールドシリーズ(WS)初戦は、ドジャースから見ると10月17日のナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦から中6日が空いた。大谷が「試合が1週間くらい空いている。どの程度、1戦目の1打席目から発揮できるかは自分の中でもまた1つ挑戦」と課題に挙げていたように、3打席目までは結果が出なかった。

 1−0の2回2死満塁では右腕イエサベージの低めのスライダーを引っかけて一ゴロ。5回先頭では同じ新人の左腕メーソン・フルーハティのスイーパーに見逃し三振。フルーハティに対してはレギュラーシーズンでも2度の対戦で空振り三振を喫しており、これで3打席連続三振。天敵だった。

 それでも、2−11の7回1死一塁で迎えた4打席目。右腕ブレイドン・フィッシャーのカーブをバットの先で拾った打球が角度41度で高々と舞い上がり、右翼席最前列に着弾した。直前までブルージェイズの一挙9得点に沸き上がっていた敵地が静まり返った。昨年は左肩負傷もあって放てなかったWS初アーチで示した意地。大谷に笑みはなく、無表情でダイヤモンドを一周した。

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 日本選手がWSで本塁打を放ったのは、2009年第6戦の松井秀喜以来、16年ぶり2人目。ブルワーズとのナ優勝決定シリーズ第4戦から2戦連発になった。今秋PSは6発目を数え、通算9本で松井秀喜の日本選手最多10本にあと1本とした。救援陣の不安を露呈した逆転での大敗発進に厳しい表情だったデーブ・ロバーツ監督も「いい本塁打だった。あれをきっかけに波に乗れればいい」と評価した。

あの「We don't need you」は聞こえていたのか

 この日のハイライトは9回2死だった。本塁打を放った後の最終5打席目の大谷に4万4353人の大観衆から大合唱が沸き起こった。

「We don't need you!(我々にあなたは必要ない)」

【次ページ】 「ショーヘイ!」敵地ファンにボールを

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