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「自分は陸上しかないんで」出雲で“号泣”の駒澤大エース候補が選考レースで復活! 箱根駅伝へ監督は「ラインナップは不安なし。最大のライバルは…」
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佐藤俊Shun Sato
photograph byTakashi Shimizu
posted2025/11/19 06:00
駒澤大の次世代エースと目される2年生、桑田駿介。出雲駅伝の失速から上尾ハーフで復調を見せ、学生2位の好結果を出した
「今年は自分の納得がいくレースができていなかったので、出雲が終わった後、いろいろ考えました。山川さんや(佐藤)圭汰(4年)さんからコンディショ二ングについていろいろ話を聞いて、自分の体を知るということに取り組んだんです。
それまで体の状態や好不調など、自分の体のことをいまいち理解していなかったんです。それで自分の体の状態に耳を傾けるようにしていくと、朝起きた時、今日は調子がいいな、悪いなとか、だんだんわかるようになってきました。それに合わせて自分でコンディションを調整できるようになったので、それが今回の上尾でもうまくいったかなと思います」
自分の体の状態をより良くするために食生活も改善し、間食なども取らないようにした。
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Ggoatからチーム練習に参加するようになったが、もともと練習自体はできていたので、特に練習メニューを変更することはなかった。ただ、チームメイトと一緒に練習することで、桑田は「みんなとコミュニケーションを取れるようになったことが良かった」という。もともと積極的に声を出したり、話をしていくタイプではない。それが一緒に練習し、時間を共有することで話もするようになり、結果を出せないことへの閉塞感や孤独感など、凝り固まっていた気持ちがほぐれていった。
やっと自分のスタートラインに立てた
「全日本の優勝は、寮でみんなと見ていました。チームとしては嬉しいんですが、個人的には自分が走って優勝したかったなという気持ちが大きかったです。でも、出雲が終わった後、全日本は昨年の結果も踏まえて正直、出るのは難しいと思ったので、そこから上尾一本に集中してやってきました。
レースは、淡々と走ることを意識して、自分の気持ち良いペースで走れました。最後、負けちゃったので、すごくいい結果、自分が納得する結果というわけじゃないんですけど、でも、これでやっと自分のスタートラインに立てたかなと思います」
出雲の直後には、憔悴した姿を見て、このまま辞めてしまうんじゃないかとさえ心配したが、今回のレース後に問うと「いや(苦笑)、それはないです。これ(陸上)しかないんで」と、ニコニコしていた。
藤田監督もホッとした表情を見せた。

