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進路面談で「プロを目指せ!」「この先生は何言ってるんだろう?」が現実に…ヤクルト育成ドラフト1位・小宮悠瞳と熱血先生の“育成上等”ド根性

posted2025/11/14 17:01

 
進路面談で「プロを目指せ!」「この先生は何言ってるんだろう?」が現実に…ヤクルト育成ドラフト1位・小宮悠瞳と熱血先生の“育成上等”ド根性<Number Web> photograph by Tomosuke Imai

川崎総合科学高からヤクルトに育成1位指名された小宮投手。学校史上初のドラフト指名をもたらしたのは、監督でもある遠藤先生との熱い師弟関係だった

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杉園昌之

杉園昌之Masayuki Sugizono

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Tomosuke Imai

甲子園には無縁の「普通の工業系高校」から、ヤクルトの育成1位指名を勝ち取った小宮悠瞳(ゆめ)。育成枠上等、夢はどこまでも大きい左腕は、いかにしてプロを志すまでに成長したのか。熱血先生との挑戦の日々を語ってもらった。〈全2回の2回目/はじめから読む

育成指名でも挑戦する

 川崎総合科学高校の小宮悠瞳は、9月初旬にプロ志望届を出したときから覚悟を決め、きっぱり明言していた。

「高卒でNPB球団に入団するのが僕の夢。『育成』でも選んでいただければ、自分は挑戦するつもりです。そこからはい上がって、活躍している選手は数多くいますから。僕の中では、支配下も育成も変わらない」

 楽しみに待っていた10月23日。ドラフト当日は建設工学科の授業を終えると、学校近くの多摩川丸子橋硬式野球場で、いつものように後輩たちと汗を流した。日本一高いと言われる地上15階建ての校舎に戻ったのは、すっかり日が落ちた夕方の遅い時間帯。3階の講義室にはプロジェクターが設置され、ドラフト会議の模様が映し出された。

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 すでに2巡目の指名に入っているようだ。野球部の仲間たちと一緒に遠藤順久監督が用意してくれた唐揚げ弁当、母親が差し入れてくれたゼリーを口に入れ、壁に映る映像をじっと眺めていた。支配下で呼ばれるなら、きっと下位指名。6巡目、7巡目に入り、選択終了のアナウンスが何度も響く。

「できることなら、支配下が良いなと思っていました。野球部のみんなにも一緒に残ってもらっていましたから。あのときは、もしも育成でも名前を呼ばれなかったら、どうしようかなって思っていました。どんどん不安になり、体も小さくなっていく感じでしたね」

「育成、あるぞ。大丈夫だ」

 満塁のピンチでもマウンドを楽しめる強心臓の持ち主も、さすがに表情が強張ってきた。その隣でどんと構えていたのは遠藤監督だった。声が大きく、活力にあふれる先生は、そわそわする教え子に明るく言葉をかけた。

「『育成、あるぞ。大丈夫だ』って。私は指名されると思っていましたから」

【次ページ】 先生が最初に跳び上がって

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