進路面談で「プロを目指せ！」「この先生は何言ってるんだろう？」が現実に…ヤクルト育成ドラフト1位・小宮悠瞳と熱血先生の“育成上等”ド根性 

「これ以上、学校を休むようであれば、『うちの家で預かります』と伝えたんです。私は本気でした。小宮を住まわせるスペースもありましたから。親御さんも『分かりました』と承知してくれたので、本人に『どうするんだ？』と聞くと、学校にしっかり通うと約束しました。うちに来て、スマホを取り上げられるのが、よっぽど嫌だったようです（笑）。高校生ですから、心が揺れ動くこともあります。それでも、野球が好きなのは分かっていました」

　バツの悪そうな小宮は熱血先生の言葉を聞きながら、苦笑して静かに頷いていた。

自信を失っていた時期も乗り越えてきた　©Tomosuke Imai

進路面談で「プロを目指せ」

　再び白球を追いかけ始めると、人生の転機が訪れる。1年生冬の進路面談。ぼんやりとした将来のビジョンを遠藤監督に話したことを覚えている。大学に進学して勉強し、スポーツ関連の仕事に就きたいと思っていたのだ。野球に打ち込むのは高校まで。それ以降は草野球を楽しむつもりだった。すると、思いがけない言葉を返された。

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「『お前はプロ野球選手を目指せ』って。正直、『この先生は何を言っているんだろう』と思いました。僕は野球エリートでもないし、中学校のときも2番手、3番手のピッチャーでしたから。それでも、『高卒で野球選手になれる能力を持っている』と言われ、こんな僕でも夢を追っていいんだ、と思えてきたんです。プロを目指そうと思ったのは、そこからですね」

進路面談で「プロを目指せ」と小宮を励ました遠藤監督　©Tomosuke Imai

　遠藤監督は小宮の秘めた才能を入学当初から買っていた。持って生まれた肩甲骨の柔軟性、しなやかな動き、体の使い方が抜群だったのだ。無論、制球の生命線となる下半身の筋力など、足りない部分も多く見えたが、化ける可能性は十分にあったという。

「私は本心を伝えました。嘘を言えば、バレますからね。彼には本気で野球と向き合ってほしかったんです。高校生ははっきり目標が定まり、その気になれば強いので」

プロを目指して過ごした学校生活

　あれから1年半あまり。身長は10cm以上伸び、球速も10km以上アップ。マウンドで経験を積み、自慢の直球にも磨きをかけた。グラウンドを離れても、プロを意識して学校生活を過ごしてきた。

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