酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平「50-50の昨季より盗塁大幅減」「シュワーバー相手に無冠」でも4度目MVP+最強DH賞が確定的…“二刀流の合わせ技”は今後どうなる
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2025/11/10 17:53
自身4度目のシルバースラッガー賞に輝いた大谷翔平。MVPもほぼ確定的と言える根拠とは
大谷翔平(ドジャース) 31歳 DH、投手(二刀流)
打撃成績 rWAR6.6 fWAR7.5
158試611打172安55本102点20盗 率.282 OPS1.014
投手成績 rWAR1.1 fWAR1.9
14試1勝1敗 47回3被本9四62振 率2.87
シュワーバー(フィリーズ) 32歳 DH
打撃成績 rWAR4.7 fWAR4.9
162試(DH154試)604打145安56本132点10盗 率.240 OPS.928
ソト(メッツ)26歳 外野手
打撃成績 rWAR6.2 fWAR5.8
160試577打152安43本105点38盗 率.263 OPS.921
ADVERTISEMENT
Baseball Referenceのデータでは今季、投打を通じて最もWARが高いのはフィリーズ左腕エースのサンチェスの8.0、2位はパイレーツのスキーンズの7.7、3位はダイヤモンドバックスの遊撃手ペルドモの7.0、打者・大谷は6.6で4位ということになる。Fangraphsでは、打者・大谷の7.5が1位で、2位はペルドモの7.1だ。
50-50の昨季は満票だったが
しかしMLB公式が発表したファイナリストには、投手のサンチェスも遊撃手のペルドモも入っていなかった。リーグMVPの選考は、投手も打者も対象になっているが、近年、最も活躍した投手は、サイヤング賞に回るようになっている。
投手で最後にMVPを受賞したのは、この度引退を表明したドジャースのカーショウ。2014年に「rWAR7.7、fWAR7.9」、27試21勝3敗198.1回9被本31四239振 率1.77でサイ・ヤング賞とW受賞した。
昨年の大谷はDHの一刀流だったが、史上空前の50−50(50本塁打、50盗塁)を記録するなど圧倒的な成績で、MVPを獲得した。
〈投票結果〉
大谷翔平(ドジャース)420ポイント
リンドーア(メッツ)263ポイント
MVP投票は選ばれたベテラン記者30人がリーグの10名までに順位をつけ投票する。1位の選手には14ポイントのMVPポイントが付与される。420ポイントは「満票」で文句なしの選出だった。
「打者+投手の合わせ技」の見直しはあるのか
今季の大谷は打撃タイトルはなく、盗塁数も大幅に減っているので満票は難しいかもしれない。それでも大谷はrWAR6.6、fWAR7.5の打撃に加え、rWAR1.1、fWAR1.9という投手の評価がある。
MLBとは無関係の選手間投票で選ぶMVP選考では、大谷ではなくシュワーバーが選出されたことが話題になったが、例年の選考基準が変更にならない限り大谷の2年連続4回目のMVPは、確定的だ。
ただ、大谷以外にTWP(Two Way Player=二刀流)の選手が出てきていない中「このままずっと打者+投手の合わせ技で大谷MVPが続くのか?」という声があるのも事実だ。
今後、MLBのAwardそのものが見直される可能性もあるだろう。〈大谷とドジャース特集:下の【関連記事】に続く〉

