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大谷翔平「50-50の昨季より盗塁大幅減」「シュワーバー相手に無冠」でも4度目MVP+最強DH賞が確定的…“二刀流の合わせ技”は今後どうなる
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byNanae Suzuki
posted2025/11/10 17:53
自身4度目のシルバースラッガー賞に輝いた大谷翔平。MVPもほぼ確定的と言える根拠とは
鈴木誠也(カブス)31歳
rWAR2.6 fWAR2.6
151試(DH102試)571打140安
32本103点5盗 率.245 OPS.804
シュワーバーは56本塁打で大谷を1本上回り自身2度目の本塁打王、また132打点は2位のアロンソ(メッツ)に6点差をつけてトップ。打撃二冠王だった。
最強DHを決めるエドガー・マルティネス賞も濃厚
昨今のMLBでは、打点、打率などの従来型の記録ではなく、WARやOPSなどセイバーメトリクス系の数字が重視される。しかし賞は、多くの選考者の投票で決まる。その中には従来の記録を重視する人も含まれる。
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2012年のアメリカン・リーグはエンゼルスの新人マイク・トラウトが「rWAR10.5、fWAR10.1」で断トツの1位だったが、この年のMVPは、45年ぶりの三冠王に輝いたミゲル・カブレラ(タイガース/rWAR7.1=7位、fWAR7.3=3位)が獲得した。当時はまだWARの信頼度は低かったこともあるが、ときとしてクラシカルな指標が重視されることもあるのだ。
しかし今年のシルバースラッガー賞投票では、大谷がシュワーバーを退けた。WARだけでなくOPSも「1.014対.928」と明らかな差がついていた。このあたりを現場の指導者たちは評価したのだろう。ちなみに今季、カブスの鈴木誠也は打点103と大谷を1点上回っている。終盤不振に陥ったが、彼も頑張ったのだ。
MLBではシルバースラッガー賞のほかに、両リーグで最も活躍した指名打者に授与される「エドガー・マルティネス賞」がある。イチローのチームメイトで、史上最高の指名打者と言われたエドガー・マルティネスにちなんだ賞だ。ここまで大谷は4年連続で受賞しているが、今季は大谷とア・リーグDH部門のシルバースラッガーに輝いたブルージェイズのジョージ・スプリンガーとの争いになるだろう。
スプリンガー(ブルージェイズ) 36歳
rWAR4.8 fWAR5.2
140試(DH82試)498打154安
32本84点18盗 率.309 OPS.959
ワールドシリーズでドジャース投手陣を散々に痛めつけた勝負強い打棒は記憶に新しいが、数字を見る限り、大谷に分がありそうだ。5年連続となれば、レッドソックスのデービッド・オルティーズ(2003~07)に並ぶ史上最長タイとなる。これも確実ではないか。
ではMVPはどうなるか
では最高の栄誉、MVPはどうなるか?
公式サイトは、ナショナル・リーグMVPのファイナリスト3人を発表した。

