「ダビデとゴリアテ？ ヘビー級王者同士の戦いだった」ドジャースに敗れたブルージェイズ監督が明かした本音…「きっとずっと思い返す」1シーンとは？ 

　第6戦、第7戦も勝利の女神は何度もトロントに微笑みかけた。しかし、第6戦9回のフェンスに嵌ったエンタイトル二塁打、第7戦9回1死からミゲル・ロハスに打たれた同点被弾、そして延長での逆転被弾。一球の行方が、32年ぶりの夢を遠ざけた。

　それでも、シュナイダーは個人を責めない。

「ワールドシリーズの結末を決めるのは選手たち。彼らを信じた」

“二刀流”にも執念の抗議

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　また第7戦の初回後、審判への抗議で見せた姿にもシュナイダー監督の執念がにじむ。

　打者として打席に立った次の回、大谷がマウンドに上がる際に「準備に時間がかかりすぎだ」として、球審に抗議したのだ。二刀流の準備にわずかな揺らぎが生じるだけで、試合全体の呼吸が変わる。シュナイダー監督のこの抗議は、小さなほころびも見逃さない執念の発露であり、その姿勢こそがシリーズ全体を引き締めていた。

もつれにもつれたワールドシリーズで敗れ肩を落とすブルージェイズの選手とファン　©Getty Images

　シリーズ直後、トロントのファンを包んだのは敗北の痛みと、それに寄り添う誇りだった。

「新しい期待と新しい基準をこの球団に植え付けた。努力と結束でここまで来た」

「野球の美しさは、それでも続いていくことにある」

　シュナイダー監督は敗北を“終わり”と捉えなかった。むしろ「これが基準なんだ」と言わんばかりに、静かに次のシーズンを見据えた。

　トロントは敗れた。だがそれでも神話に例えられるほどの強者と対等に渡り合い、最後の一球まで食らいついた。その誇りは、トロントという街の記憶を未来へと繋いでいく。2025年のブルージェイズは敗者ではなく、物語の確かな証人だった。