「えっ、投げるの？」記者もざわついたドジャース山本由伸“伝説のリリーフ登板”真相「すべては第3戦から始まったんだ」敏腕フリードマンの“誤算”とは 

「昨日（第6戦で）投げ終わって最終登板だと思っていた。だからずっと練習を教わっている矢田先生（個人トレーナーの矢田修氏）に、1年間ありがとうございましたというように伝えたんです。そこで明日、ブルペンで投球できるくらいにはもっていこうかって言われたんですが」

　特にドジャースは一部の主力投手を慎重に起用するだけに、これでシーズン終了と考えたのは山本だけではなかった。人事、選手起用の鍵を握るアンドリュー・フリードマン編成本部長も考えは同じ。フリードマンには早い段階でスタッフから“山本を第7戦に向けて備えさせる”という報告が届いたが、真剣には取り合わなかったという。

ワールドシリーズ連覇達成直後に真相を明かしたアンドリュー・フリードマン編成本部長（筆者撮影）

「（第7戦の）朝の時点で山本が投げられると思わなかった。第6戦後、“第7戦に備えて治療を受けておく”というテキストが彼の側から来たが、その時はあまり真に受けなかった。“ああ、いいね。彼は本当にチーム思いだな”くらいに思っていた」

ざわつく記者席「本当に投げるのか？」

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　ところが――第7戦当日、山本とドジャースはまさかのスクランブル登板に向かって動いていく。この日の朝、再びトリートメントを受けた山本は試合前、恒例のやり投げとキャッチボールで状態を確認。「練習してみたらすごく感覚がよかった」ことから、登板の可能性は少しずつ現実的なものとなる。時を同じくして、デーブ・ロバーツ監督も練習前後のコンディション次第と前置きをした上で、背番号18に登板の意思があることをすでに会見で明言していた。

緊迫した場面でマウンドに上がり、見事、ロバーツ監督の期待に応えた山本由伸　©︎Gregory Shamus/Getty Images

　試合は接戦のまま進み、ドジャースが1点差に迫った8回に山本はブルペンで投球練習を開始。その頃には記者席のメディアたちも、「本当に投げるのか？」と驚きの声を抑えられなかった。まさかが現実に変わるまでに時間はかからない。ドジャースが同点に追いついた直後の9回裏途中、山本は轟音のような歓声が絶えず鳴り響いていた敵地ロジャーズ・センターのマウンドに向かったのだった。

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