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「えっ、投げるの?」記者もざわついたドジャース山本由伸“伝説のリリーフ登板”真相「すべては第3戦から始まったんだ」敏腕フリードマンの“誤算”とは
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杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGregory Shamus/Getty Images
posted2025/11/06 17:00
ゲームセットを迎えた瞬間、安堵の表情を浮かべた山本由伸。最後のマウンドを託された重圧を物語るシーンだった
メジャーの歴史を少なからず変えた第7戦での山本のクローザー起用。こうして振り返っていくと、それは即席の“緊急登板”ではなかったことが見えてくる。実力、実績が慎重に吟味され、コミュニケーションへの信頼感があった上で決断されたものだったからこそ、結果的にその選択は正しかったのだ。
百戦錬磨のフリードマン編成本部長に一つ誤算があったとすれば、山本が実際に成し遂げたことが期待度を超えるレベルだったことだ。
「あれだけの内容を3イニング(実際には2回2/3)も維持できたのは、私がベースボールで見た中で最も信じがたいことのひとつだ」
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第7戦の9回裏以降、二度にわたる大ピンチを冷静にしのぎきった力投は今後、山本のメジャーキャリアの“シグネチャーパフォーマンス”であり続ける。10年後も、20年後も、終盤の映像はメジャーリーグを彩るハイライトの一つとして繰り返し流されるに違いない。
投手の役割が細分化された現代のMLBで、これに近い偉業が繰り返されることはそうはあるまい。背後にあった首脳陣の決断と共に、山本がブルペンからマウンドに向かう姿は語り継がれ、史上最高レベルと称された今シリーズを象徴するシーンとして記憶されていくのだろう。

