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「じ、実力不足って…」藤井聡太六冠が伊藤匠二冠に敗れて“衝撃発言”「卓球姿にはホッコリ」「女流2強もスゴい」観る将マンガ家が描く将棋界
posted2025/11/01 11:05
10月の将棋ハイライト。イラストは関連記事などからご覧になれます!
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千田純生JUNSEI CHIDA
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日本将棋連盟/Junsei Chida
夏の暑さはどこへやら、晩秋の気配漂う今日この頃ですが——将棋界では真夏のように熱く燃えるトピックスが数多くありました。イラストとともに振り返っていきましょう!
1)二冠獲得…伊藤・藤井の「2強時代」到来か
将棋界、ついに「藤井・伊藤2強時代」の到来なのか――。
秋にかけて行なわれた第73期王座戦で、伊藤匠二冠が誕生しました。
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〈王座戦:日程と結果〉
第1局:9月4日 藤井1勝 @シンガポール
第2局:9月18日 伊藤1勝 @神戸
第3局:9月30日 伊藤2勝 @名古屋
第4局:10月7日 藤井2勝 @秦野
第5局:10月28日 伊藤3勝で奪取 @甲府
元湯陣屋での第4局では、カド番に立たされた藤井王座が1勝を返して2勝2敗のタイに。最終局は伊藤叡王が2024年に“藤井八冠崩し”に成功した常磐ホテルでの再戦となりましたが——後日配信される田丸昇九段の解説記事などによると、伊藤叡王が藤井王座の攻めをあえて呼び込む展開に持ち込み、勝利を手繰り寄せたそうです。藤井六冠相手にそんな構想をできるとは、あらためてすごい……。
伊藤新王座の「23歳0カ月での二冠獲得」、じつは快挙なんです。史上最年少は2020年8月の藤井王位・棋聖の18歳1カ月、2位は1992年2月の羽生善治王座・棋王の21歳11カ月に続く、歴代3位の記録。将棋界が誇るスーパースター2人に次ぐスピードで、さらには藤井六冠から2つのタイトルを奪取したという事実は、「伊藤将棋強し」の印象を際立たせます。
強烈に印象に残ったのが、終局直後のインタビューでの、藤井六冠の言葉です。
〈終盤戦で競り負けるような形になってしまったかなと思うので、んー……そうですね、実力不足だったかなと感じます〉
将棋ファンでなくても「藤井六冠が実力不足だなんてそんな……」と思うのは共通する思いでしょう。ただ藤井六冠はこれまでも〈将棋はとても奥が深いゲームで、どこが頂上なのか全く見えません。まだ頂上が見えないという意味では森林限界の手前です〉という名言を残したように……。
「タイトルをどれだけ獲ろうとも自分の棋力を向上させる、将棋の真理を求め続ける姿勢に、心打たれるんですよね」
担当編集さんもそう言っていました。六冠になったとはいえ、ここから再びタイトルを奪取し返すというのも十分にあり得るでしょうから、同学年のライバル関係がさらに楽しみになってきました。

