ドジャース大谷翔平「延長18回の死闘の罠」とは？ NHK解説者が見たワールドシリーズ第3戦の“代償”「9打席連続出塁に、疲労以上の影響が…」 

　この日の大谷選手はいわゆる「ゾーン」に入っていました。何を投げても打たれそうというか。ですから、4打席長打を打たれた後の4連続申告敬遠、さらに最後の打席も事実上勝負を避けての四球という、ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督の判断は正解、大正解だったと思います。実際、大谷選手を敬遠し続けていたほぼ1試合分の延長戦の間、フリーマン選手に一発を打たれるまで、点を取られていないわけですから。

連続敬遠の意外な影響とは

歩かされ続けたことで大谷の打撃の流れも途切れてしまったのか　©Getty Images

　それともう一つ、ブルージェイズからすると、この延長に思わぬ「得」があった気がするんです。大谷選手に4打席、事実上5打席「バットを持たせなかった」ことで、彼の「ゾーン」が途切れてしまったんじゃないかと。これが1打席、まあ2打席くらいのことなら、いい流れは続いていたと思うんです。しかし、5打席も四球を続けられると、さすがにそういう流れも切れてしまった。

　9度出塁して、途中足が痙攣するほどの疲労も当然影響したでしょう。まがりなりにもプロで野球を経験した私からしても、あれだけのプレーをして、翌日先発投手として投げて、きちんとゲームをつくるというのは、信じられないことです。ただ、大谷選手の打撃の状態はあいかわらず悪くないと思いますが、強い当たりが野手の正面に飛んだり、ちょっと打球が上がらなかったりして2試合ノーヒット。

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　これは、第3戦の「ゾーン」が、長い長い延長戦の敬遠の連続で途切れてしまった、そういう影響もあったのではないでしょうか。そう考えると、この18回の死闘に敗れはしたものの、ブルージェイズは転んでもタダでは起きないとでもいいますか、ただ負けただけではない収穫もあったのかなと思っています。

　後編では第4戦、5戦を振り返りながら、追い詰められたドジャースの敵地での戦いを展望してみましょう。

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