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ドジャース大谷翔平「延長18回の死闘の罠」とは? NHK解説者が見たワールドシリーズ第3戦の“代償”「9打席連続出塁に、疲労以上の影響が…」
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小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byGetty Images
posted2025/10/31 11:07
ワールドシリーズ第3戦、延長11回裏に申告敬遠で一塁へ歩く大谷翔平。18回まで試合が続き、大谷が敬遠され続けたことに意外な影響があったと小早川氏は指摘する
ホームのドジャースは、この延長戦の勝敗だけのことでいえば、後攻なので圧倒的に有利でした。ただ、私も現役の広島カープ時代に、18回とはいかないものの、確か延長15回という試合を経験したことがあって。ホームの広島市民球場であったのと、ビジターの神宮球場でもあったと思うんです。すると、私の主観的な記憶ですが、ホームのほうが疲れるんですよ。
もちろん一概に比較できるわけではありませんが、思い返せば、有利なはずのホームで延長戦をつづけていると、「これは是が非でも勝たないと」という重圧が少しだけアウェーよりも重たく感じられるんです。ましてや、ワールドシリーズの1試合の重みはレギュラーシーズンとはわけが違います。同じ延長戦を戦って勝利しても、ドジャースにとっての18回は、ブルージェイズにとっての18回よりも「上り坂」だったんじゃないでしょうか。第4戦、5戦の戦いぶりを見ると、後知恵ですがその疲労がどこか影響していたんじゃないかなと。
大谷の活躍を誉める言葉がもうありません(笑)
大谷翔平選手の2ホーマー2二塁打4敬遠1四球で9打席出塁、というパフォーマンスについては、もう誉める言葉も尽きましたね(笑)。ブルージェイズ投手陣の攻め方が間違っていたわけではないんです。第1戦、2戦の攻め方を参考に、最善の配球を考えていたと思います。具体的には、そこまでやや打ち損じが多いと感じられた、インハイの速球ですね。大谷選手からは遠く感じられるアウトローの変化球で目線を動かして、インハイに速球系を投げ込んで打ち取ろう、という組み立てが基本でした。
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ただ、この日の先発、サイ・ヤング賞3回の大投手、マックス・シャーザー投手から第1打席では変化球をツーベース。そして第2打席ではそのインサイドの速球系のボールをライトスタンドに運びました。ここは、それまで結果の出ていなかったコースでしたから、おっ、今日はちょっと違うなと思わされましたね。大谷選手がブルージェイズの攻めにきちんと対応して、克服しつつあるのかなと。

