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「夜中のデニーズ…泣きながら車を運転して」名将に重宝される男子バレーの頭脳・伊藤健士コーチ44歳“異色の履歴書”「父は札幌五輪で…」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byOSAKA BLUTEON

posted2025/10/31 17:04

「夜中のデニーズ…泣きながら車を運転して」名将に重宝される男子バレーの頭脳・伊藤健士コーチ44歳“異色の履歴書”「父は札幌五輪で…」<Number Web> photograph by OSAKA BLUTEON

バレーボール男子日本代表・伊藤健士コーチ(44歳)。所属元の大阪ブルテオンでは今季から就任したトーマス・サムエルボ監督を支えている

 ただ、アナリストとして代表に携わっていた時期はこれまた過酷だった。今は複数人で分担することが多いが、当時は1人だったこともあり多忙を極めた。

「もちろん自分の考えた作戦がはまって勝って、『データのおかげだ』と言ってもらえたらすごく嬉しかったと思うんですけど、大変だった記憶のほうが残っていて。国際大会の時にアナリスト席で、各国のアナリストたちと『大変だよな』『生まれ変わったらやりたくないよな』という話をよくしていました(笑)。寝られないし、体によくないですよ(苦笑)。今は複数人でやっているので、状況は全然違うと思いますけど」

 そんな時期を経て、2022年からはコーチとして代表に携わることに。

「藍とトモは本当にすごい」

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「僕、練習で選手にボールを打つのがめちゃくちゃ好きなんです。コーチあるあるだと思うんですけど、自分がサーブを打ったりスパイクを打つと、相手の力がわかるんですよ。『あ、こういうの拾えるんだ』とか、逆に『ここが苦手なんだな』とか。それで練習していくうちに、拾えなかったボールを選手が返せるようになると、これはもう、やりがいがあってしょうがないですよ。それが醍醐味です」

 肩を回しながら、嬉々として言う。

 打っていて楽しいのは誰かと聞くと、「山本トモ(智大)ですね」と即答した。

「マジで気合いを入れて、全力で打たないと全部拾われるんで。でもあいつがちょっとレシーブミスした時は勝った感があります(笑)。(高橋)藍もそうですね。藍とトモは本当にすごい。あと関田(誠大)もすごかった。彼らを倒した時は、『やってやった』って感じで。そのためだけにトレーニングしています(笑)」

【次ページ】 ブランとティリから受けた刺激

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