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「ピークがずれてしまった」男子バレーなぜ負けた? “日本代表の頭脳”伊藤健士コーチがSVリーグ開幕前に明かした危機感「宮浦の涙はショックでした」
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米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byJVA/AFLO
posted2025/10/31 17:02
バレーボール日本代表ロラン・ティリ監督を“右腕”として支える伊藤健士コーチ(44歳)。代表活動を終えると、すぐに所属元の大阪ブルテオンに戻り、SVリーグ開幕に向けて準備に奔走していた
「宮浦は、すごく苦しかっただろうなと思います。カナダ戦で負けたあと、インタビューで泣いていたと聞きました。彼は代表でワンシーズン通して中心的に戦ったのは初めてでした。薩摩川内やNTCの合宿では、5人のアウトサイドがまんべんなく練習するために、どうしても練習のボリュームが増えていた。オポジットは宮浦と西山(大翔)の2人しかいないので、絶対疲れるじゃないですか。
しかも宮浦はすごく真面目だから、全体練習や試合以外にも、自分で朝トレーニングしたりするんです。彼は人の見えないところで努力するやつなんです。それに一切、不平不満を言わない。そういう選手が泣いていたのは、僕はショックでした。一番頑張っていたやつが、悲しい思いをするというのはね。僕的には、ちょっとしんどかったですね」
ティリ監督の新体制1年目。昨年まで監督を務めたフィリップ・ブランとともにやっていた選手、スタッフにとっては、新鮮さもあれば、疑問が頭をよぎることもあった。
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「昨年までのやり方だったら、もっとうまく行くかもしれない。でも……」と思いを飲み込むこともあった。
世界選手権中、伊藤は石川主将と同じ考えを共有していた。〈第2回に続く〉

