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「天才的だよ」フリーマンでも“正直わからない”大谷翔平の「類稀な才能」米国人ドジャース番記者が聞いた「オオタニは何でもやってしまう」
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ジャック・ハリスJack Harris
photograph byAP/AFLO
posted2025/11/03 11:01
ドジャースが誇るMVPトリオ。フリーマンとベッツら仲間が感じる大谷翔平、天賦の才能とは
これまで、打球速度は主にバットスピードに左右されると言われてきた。基本的に、スイングが速いほど、ボールを強く捉えられる。また、長年の投球追跡データによって、打球速度が速いほど打撃成績が良くなることも明らかになっている。
ただし、バットスピードがすべてではない。たとえば、スタントンの平均バットスピードはMLB最速の時速80.6マイル(約129.7キロ)で、ベースボール・サヴァンに登録されている他の全打者より3マイル以上速いが、打率は.243にすぎない。バットスピードのベスト10に入っている打者のうち、選手の総合成績を最もよく表すといわれるOPSでもベスト10にランクインしているのは、ヤンキースのアーロン・ジャッジだけだ。
フリーマン「オオタニはそのくらい天才的だ」
大谷の平均バットスピードは時速75.4マイル(約121.3キロ)で19位。他の一流打者と比べて突出しているとは言い難い。彼が際立っているのは、パワーとスピードに加えて彼が駆使する細かな身体調整能力と、身体のスムーズな連携だ。6フィート4インチ(約193cm)の長身を併せ持つ大谷の総合力は、毎日見ている仲間でも説明しづらい。
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「正直、よくわからないよ」
大谷がコンスタントにボールを捉えられるのはなぜかと尋ねられたフレディ・フリーマンは答えた。
「彼はそれくらい天才的なんだ」
ドジャースのアーロン・ベイツ打撃コーチは「野球界最高の身体能力に、長い“てこ”を与えたら、こういう結果が出るってことさ」と言う。
二刀流でなくても現実離れした存在
大谷の体の動きは効率がよく、再現性と適応力に優れている。だからこそ今季ほとんどスランプもなく、2戦連続ノーヒットはまだ1回しかない。多彩な球種を打ち返せるのもこのためで、ストレート、変化球、チェンジアップのどれに対しても.333以上の打率を残している。MLBの他の一流打者でも同じことはできない。「バットをボールに当てるのは練習によって磨かれる高度な技術だ」とベイツは言う。
「でも、目と手を連動させる能力、ボールを芯で捉える対応力は生まれつきだね」
大谷のアプローチには、この天賦の才能が光る。

