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「背中のニキビを食べたことに報酬を払った」大谷翔平ポストシーズンの裏側で…“聖人・トラウト”は虚像だったのか? 元MVPが裁判で語った「驚きの証言」
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一野洋Hiroshi Ichino
photograph byGetty Images
posted2025/10/28 06:00
6年前に亡くなったチームメイトに関する訴訟で証言台に立ったエンゼルスのマイク・トラウト。「球団の顔」からは衝撃の証言が
トラウトはスカッグスの死後、最初のホームゲームでホームランを放っている。
当時、彼は「打ててうれしかったけれど、感情があふれていた」と語っていた。その夜、彼の涙とともにチーム全員が天を仰いだ。しかし、トラウトの心に残ったのは、喪失だけではない。あの“悪ふざけ”や、クラブハウスの空気。笑いながらもどこかに感じていた違和感――それがスカッグスの死後に現実として噴き出した。
衝撃的な証言…トラウトへの評価はどう変わった?
では、この証言を受けて、アメリカでのトラウトの評価はどう変わったのだろうか。
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結論からいえば、その証言内容のグロテスクさの割に、トラウトの評価は下がっていない。むしろどちらかといえば「信頼が再確認された」という表現がふさわしいように思う。
米テレビ局『ABC7』は、トラウトは法廷で約3時間にわたり証言し、その間に感情をあらわにする場面もあったと伝えている。その姿勢は、シーズンMVPに3度輝いた球界屈指のスターとしての誠実さを示すものでもあった。
『ESPN』は、「トラウトの証言によって、ケイの行動がチームによる介入を必要とするほどの“危険信号”を発していたことを示唆した」と報じている。
アメリカのメディアの多くは、彼を“責任を逃れたスター”ではなく、“苦痛を背負いながらも真実を語った誠実なリーダー”として受け止めた。その証言は、薬物問題に沈黙してきた球界に一石を投じた。そんな変化の兆しとして報じられたのだ。
各種の記事では総じて、「これが球団の責任を問う重要な要素になる」としつつも、トラウト本人への批判的な言及は見られなかった。
むしろクラブハウスの中で異変に気づき、静かに警告を発していた選手がいたという事実そのものが、トラウトという選手の人間的な深みを際立たせたという声が多い。

