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山本由伸、メジャー仕様のPS無双「68球で被安打ゼロ」魔球に正捕手スミスとの“相性問題”も解消でハグ…次も完投ならドジャース伝説エース再現 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byDaniel Shirey/Getty Images

posted2025/10/27 17:00

山本由伸、メジャー仕様のPS無双「68球で被安打ゼロ」魔球に正捕手スミスとの“相性問題”も解消でハグ…次も完投ならドジャース伝説エース再現<Number Web> photograph by Daniel Shirey/Getty Images

山本由伸はポストシーズン2試合連続完投勝利の快挙を成し遂げた

〈10月25日 ブルージェイズ戦〉
1回23球 左二塁打、左前打、空振り三振、一直、見逃し三振
2回10球 一安打、見逃し三振、中飛、遊ゴロ
3回13球 死球、空振り三振、左前打、中犠飛、一ゴロ:1失点
4回6球 一ゴロ、中飛、遊ゴロ
5回8球 左直、三ゴロ、投ゴロ
6回11球 二ゴロ、空振り三振、遊飛
7回8球 三ゴロ、一ゴロ、遊ゴロ
8回14球 空振り三振、空振り三振、見逃し三振
9回12球 一ゴロ、右直、三飛

 オリックス時代からそうだったが、山本は立ち上がりに失点することが多かった。しかし、相手打者が3巡目を過ぎるころから、山本はリズムに乗って無双の投球をする。エンジンがかかって来ると、手の付けられないピッチングをするのだ。この2試合でいえば、5回以降に許した走者は14日のブルワーズ戦の5回に与えた四球の一人だけ。2試合、10イニングを準パーフェクトで抑えきっている。

ブルージェイズの“球数投げさせる”作戦を阻止

 ブルージェイズのジョン・シュナイダー監督は、ドジャースの救援陣が脆弱なことを知っていて、先発投手により多くの球数を投げさせ、早く降板させようとした。果たして第2戦の1回、山本は23球を投げた。まさにシュナイダー監督の思うつぼだったのだが――2回以降は、先発投手の1イニングの球数の基準とされる「15球」を超えることなく、わずか105球で完投している。

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 奪三振は8だったが、ゴロは実に11個、「打たせて取る」技巧がさえわたった。まさにメジャー仕様の「山本由伸無双」と言える。

カーブで手玉に取りつつ、68球投げて被安打ゼロの…

 2試合の投球データをMLB公式サイトの「スタットキャスト」で見てみよう。

〈10月14日 ブルワーズ戦〉
111球(81球/空振14)
スプリッター34球(23球/空振7)
平均147.5km/h 1406回転
フォーシーム28球(20球/空振4)
平均154.9km/h 2262回転
カーブ27球(20球/空振2)
平均125.2km/h 2834回転
カッター12球(10球/空振1)
平均149.2km/h 2490回転
シンカー8球(7球/空振0)
平均153.9km/h 2359回転
スライダー2球(1球/空振0)
平均141.5km/h 2837回転

 フォーシームの最速は157.1km/h、スプリッターが決め球になっていたことがわかる。

【次ページ】 カーブで手玉に取りつつ、68球投げて被安打ゼロの…

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