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山本由伸、メジャー仕様のPS無双「68球で被安打ゼロ」魔球に正捕手スミスとの“相性問題”も解消でハグ…次も完投ならドジャース伝説エース再現
posted2025/10/27 17:00
山本由伸はポストシーズン2試合連続完投勝利の快挙を成し遂げた
text by

広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Daniel Shirey/Getty Images
MLBのワールドシリーズの「主役」は、大谷翔平だろうと思っていたが、そうではないかもしれない。今や名実ともにドジャースのエースとなった山本由伸が、ポストシーズン2試合連続完投勝利をやってのけた。
21世紀ではシリング以外いなかった大快挙
投手が先発完投するのが当たり前だった20世紀半ばまでは、珍しい記録ではなかった。しかし、21世紀に入ってからは2例目。2001年のアリゾナ・ダイヤモンドバックス、カート・シリングが3連続完投をして以来24年ぶりだ。
〈01年のシリングのPS成績〉※カッコ内はストライク
10月9日 ナ地区S カージナルス戦
9回3被安0被本1球9振 責0/101球(74球)〇
10月14日 ナ地区S カージナルス戦
9回6被安1被本1球9振 責1/121球(86球)〇
10月19日 ナ優勝決定シリーズ ブレーブス戦
9回4被安0被本2球12振 責1/127球(83球)〇
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ワールドシリーズは1勝だけだったが、ダイヤモンドバックス初の世界一に貢献、ワールドシリーズ3勝のチームメイト、ランディ・ジョンソンと共にシリーズMVPに輝いた。通算216勝。晩年にレッドソックスに移籍、松坂大輔のチームメイトになったことは記憶に新しい。
ポストシーズンでの山本の快投ぶりを振り返っていこう。
〈2025年PSの山本由伸〉
10月1日 ナ・ワイルドカードS レッズ戦
6.2回4被安0被本2球9振 責0/113球(77球)〇
10月8日 ナ地区S フィリーズ戦
4回6被安1被本1球2振 責3/67球(42)●
ここから2連続完投する。
10月14日 ナ優勝決定S ブルワーズ戦
9回3被安1被本1球7振 責1/111球(81球)〇
10月25日 WS ブルージェイズ戦
9回4被安0被本0球8振 責1/105球(73球)〇
ポストシーズンでは10月8日を除き、概ねブレーク・スネルに次ぐ2番手先発としてマウンドに上がった。
“5回以降はほぼ完全”打たせて取る投球術も
さらに2試合のイニングごとの展開を見ていく。
〈10月14日 ブルワーズ戦〉
1回12球 先頭打者ホームラン 三ゴロ、一ゴロ、三ゴロ:1失点
2回10球 三失、一ゴロ、見逃し三振、遊ゴロ
3回11球 投ゴロ、空振り三振、左前打、遊直
4回14球 空振り三振、中飛、左前打、空振り三振
5回18球 右飛、四球、左直、見逃し三振
6回11球 三ゴロ、二ゴロ、三直
7回13球 遊ゴロ、二ゴロ、二ゴロ
8回8球 見逃し三振、三ゴロ、二ゴロ
9回14球 中飛、投ゴロ、空振り三振

