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「昨日よりは前進できた」チームメート、フェルナンデスの初優勝を受け、小椋藍は今季残り3戦で何を狙うのか
posted2025/10/23 17:00
右手首の骨折からなんとか回復し、オーストラリアGPでは13位で完走した小椋
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遠藤智Satoshi Endo
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Satoshi Endo
第17戦日本GPで6年ぶり7回目のタイトルを獲得したマルク・マルケスは、第18戦インドネシアGPの決勝レースでマルコ・ベゼッキに追突されて転倒リタイア。この事故でマルクは右肩甲骨を骨折し、第19戦オーストラリアGP、第20戦マレーシアGPの2連戦を欠場することになった。
この結果、自身がもつシーズン13勝という最多勝更新のチャンスは消滅。ライダー、コンストラクター、チームの3タイトルを独占したドゥカティだが、マルク不在に加えフランチェスコ・バニャイアがあいかわらずの不振にあえぎ、なんとも寂しいシーズン終盤となっている。
マルクが戦線を離脱したことで、レースファンの興味が半減した感は否めない。その一方、マルクが怪我をしたインドネシアGPではルーキーのフェルミン・アルデゲルが初優勝を遂げた。先週行われた第19戦オーストラリアGPでは、小椋藍のチームメートでMotoGP4年目を迎えるラウル・フェルナンデスが初優勝するなど新風も吹いている。
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ここまでのリザルトを振り返ってみると、マルクが11勝、マルクの実弟で総合2位につけるアレックス・マルケスが2勝、2022年、23年のチャンピオンで総合4位のバニャイアが2勝、アルデゲルが1勝でドゥカティだけで合計16勝を挙げている。
他はアプリリアのベゼッキとフェルナンデスが1勝ずつ。ホンダはヨハン・ザルコ1勝となっている。ちなみに土曜に行われるスプリントにおいては、マルクが14勝、ベゼッキが3勝、アレックスとバニャイアがそれぞれ1勝を挙げている。
マルク以外のライダーが不安定な理由
マルクがいかに強かったか、ということ以外でこの数字から伝わるのは、ほかの選手たちの安定感のなさである。「どうして勝てたのか?」「前回勝てたのに今回はどうしてだめなのか?」ということが常に話題になるシーズンになっている。
その理由は厳しい技術規制とタイヤの1社供給で大接戦が続いているところにある。
MotoGPクラスにタイヤを供給するミシュランは、その昔から「高いパフォーマンスを発揮する」ことで知られるが、ウイークポイントとしては「そのときどきの路面コンディションに対応する領域が狭く、おのずと選手たちのタイヤの選択が一緒になり、マシンのセッティングが大きくリザルトに影響する」ことが挙げられる。そのミシュランでマルクが発揮したスキルの高さは、まさに圧倒的だった。

