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20歳の新鋭フェルミン・アルデグエルがMotoGP初優勝 マルケス復活戴冠の裏で進行する確実な世代交代の予兆
posted2025/10/08 06:00
インドネシアGPで優勝争いを繰り広げたアルデグエル(左)とアコスタ
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遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
日本GPからの2連戦となった第18戦インドネシアGPは、MotoGPルーキーのフェルミン・アルデグエル(20歳)が初優勝を達成、ペドロ・アコスタ(21歳)が2位、アレックス・マルケスが3位という結果だった。総合2位につけるアレックスの3位は順当だとしても、アルデグエルは史上2番目の記録となる20歳183日で初優勝を達成するなど、久しぶりに新鮮な顔ぶれの表彰台となった。
史上最年少優勝記録は日本GPで7度目のタイトルを獲得したマルク・マルケスが、2013年に達成した20歳63日である。その記録には届かなかったが、アルデグエルは20歳の年に優勝した2人目の選手となった。
アルデグエルは2歳からポケバイに乗り、その後、着実にキャリアを積み上げ、注目される選手のひとりだった。181cmという恵まれた体格のため、Moto3を経験せずMoto2クラスにいきなりデビューするという珍しいキャリアを持ち、一昨年(23年11月)、将来を嘱望されドゥカティが“青田買い”で契約。今季サテライトチームのグレッシーニからデビューを果たした。
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ここまでの目立った結果は、第6戦フランスGPのスプリントと決勝で3位、第8戦アラゴンGPのスプリントでも3位。また第13戦オーストリアGP決勝の2位があった。アルデグエルは将来のドゥカティのエースとして期待されているが、まずは、その期待に応えたことになる。
この優勝は通過点
アルデグエルは優勝の喜びをこう語った。
「本当に信じられない。今季はいつか勝てるチャンスが巡ってくるんじゃないかと思っていたが、こんなにも早く優勝を達成できると思わなかった。これまでの努力が実った瞬間だった。でも、この優勝は通過点。さらに上を目指していきたい」
2位になったアコスタもこれまで多くの記録を樹立、印象に残るライダーとして成長を遂げてきた。21年に16歳でMoto3クラスにデビューし、圧倒的な強さで史上2番目の若さでタイトルを獲得。Moto2クラスでは22年に史上最年少の18歳4日で初優勝を達成し、23年に史上2番目の若さでタイトルを獲得。そして昨季、大きな注目を集めてMotoGPクラスにデビューし、今季はKTM勢のエースとして表彰台争いに加わるようになった。

