テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
「オオタニはジョーダンのようだ」ベッツもフリーマンも敵将も絶賛の大谷翔平だが「たまたま僕が」神の領域MVPに笑顔は一切なく…ドジャースPS裏話
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byNaoyuki Yanagihara
posted2025/10/24 11:05
3本塁打に7回途中10奪三振無失点でMVP獲得。それでも会見の大谷翔平に笑顔はなかった
「ここ数日いい感覚では打てているなとは思ってます。そもそも投げている試合が少ないので、数字の偏りが少し出やすいのかなとは思うんで、それが悪い方向に出てたのかなという印象は受けてるかなと思います」
日本メディアの番となり、1番手を任された私は「2日前に屋外フリー打撃を行った理由とそれによる変化や発見はありましたか?」と尋ねた。笑顔のない大谷の答えはこうだった。
「一番は試したいことがいくつかあったので、ケージでは分からないことですし、フィールドで打った時にそれが正しいのかどうなのかっていう確認作業をしたいなと思ってやりました」
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試したいこと、確認したいことは何か。本来は追加で質問すべきだったが、私は既にマイクを手放していた。マイクなしで質問することもできただろうが、時間制限や質問数に限りがある中、追加質問すると他社の記者の質問が一つ減る可能性も考えて自重した。「追加質問してほしかった」という声を会見終了後に他社の先輩記者に言われたが、果たして正解が何だったのか今でも分からない。
それより、大谷は会見中、最初から最後まで笑顔は一切なかった。
まだWSが残っているから気を引き締めているのだろうか。リーグ優勝MVPに関して「巡り合わせなのかなと思ってますし、たまたま今日みたいな試合がここに来てくれて僕がもらいましたけど」と語っていたように、自分一人が表彰されることに気まずさを感じていたようにも見えたのは私の考え過ぎだろうか。
頭を抱えたフリーマン「この日は語り継がれる」
この日は信じられない出来事を目の前にした人間のしぐさも興味深かった。大谷の投打のハイパフォーマンスを記者席から目撃した両軍の番記者たちは一様に「WOW!」と目を輝かせ、3発目の時はあちこちから笑い声が出た。選手の反応もこれまで見たことがないもので、フリーマンやロハスは4回の場外弾に頭を抱え、口を開けたまま言葉を失っていた。
昨年ワールドシリーズMVPのフリーマンは「この惑星で一番の選手が最大の舞台でプレーしている。最高のパフォーマンスだった。たぶんこの日のことはずっと語り継がれる」と興奮気味に語り、敗退したブルワーズのマーフィー監督でさえ、最大級の賛辞を贈ったのだから。
「ポストシーズン史上最高のパフォーマンスの一つの中に我々はいたと思う。誰も異論はないだろう。10奪三振して3本塁打を打つなんて」
12年間で歴代No.1のパフォーマンスなのでは
大谷番は今年で12年目。独断と偏見で選んだ「大谷のスーパーパフォーマンス3傑」は以下になる。

