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「オノは人気者だったよ」「実に重要な選手」天才MF小野伸二はオランダ名門で愛された…相棒も地元記者も懐かしむ“欧州タイトルへの日々”
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サミンドラ・クンティSamindra Kunti
photograph byKazuaki Nishiyama
posted2025/10/21 06:15
フェイエノールト時代の小野伸二。その天才的なテクニックはオランダ名門でも愛された
様々な感情が渦巻くなか、フェイエノールトの面々は逆に集中力を高め、トマーシュ・ロシツキーやマルシオ・アモローゾらを揃えたドルトムントに3-2で競り勝った。中盤のこぼれ球をダイレクトで浮き球のスルーパスに変え、トマソンの決勝点をアシストしたのは、小野だった。
相棒MFも「オノの存在はものすごく大きかった」
中盤で小野のパートナーを務めた元オランダ代表パウル・ボスフェルトは語る。
「オノの存在はものすごく大きかった。彼はピッチ上の問題を解決し、多くのチャンスをつくった。私は常に彼へのパスを躊躇わなかった。なぜなら、オノはボールを失わないから、安心してボールを託すことができたんだ。それはMFにとって、もっとも重要な能力のひとつだ。彼はあの頃のフェイエノールトで実に重要な選手だったよ。ピッチの外では、剽軽なところもある人気者だった」
以降、ロッテルダムに欧州のタイトルは戻ってきていない。当時を知るサポーターは今も、あの頃のチームを語り草にしている。その中心には、弾けるような笑顔を見せ、天才的にボールを扱う日本人選手がいた。〈下の【関連記事】第1回、第2回からつづく〉

