欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「ウエダ、今日も決めてくれ!」ブラジル撃破弾→オランダ9戦11発…日本代表FW“完全覚醒”を外国人記者ズバリ「渡辺剛とファンペルシの存在が」
text by

サミンドラ・クンティSamindra Kunti
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/10/21 06:13
ブラジル撃破弾にオランダでのゴール量産。上田綺世“完全覚醒”の背景を、現地で取材する外国人記者がズバリ記す
するとそのシーズン終了後には、隣国オランダの名門フェイエノールトが、1000万ユーロ(約15億円)という当時のクラブ史上最高額の移籍金を支払って上田を獲得。ところがそれに見合う活躍は、今季が始まるまで披露できていなかった。怪我の影響もあり、2023-24シーズンは5得点、2024-25シーズンは7得点に留まっていたのだ。
クラブはこれを受け、別のストライカーを物色し始めていた。上田のクオリティーを完全に疑っていたわけではないが、数字が伴っていなかったのだから仕方ない。ギョズテペのロムロやスパルタク・モスクワのマンフレッド・ウガルデらを照会し、キャスパー・テングステッドをベンフィカから獲得した。
ところが新シーズンが始まると、そんな必要はなかったとクラブ関係者は思い知ることになる。上田は開幕戦から3トップの中央で先発し、3試合連続で計4ゴールを記録。明らかにフィジカルコンディションが良く、精神面の充実もうかがえ、チームメイトからの信頼も得ている。
渡辺剛の加入、師匠ファンペルシの存在が大きい
ADVERTISEMENT
2季トータルの1試合平均得点は0.26だったが、今季はこの時点で1.2。その主な理由はふたつある。
まず、夏に同胞の渡辺剛がヘントから加入したことが大きい。過去2年、上田がチームで孤独を感じていたのは、関係者の間では公然の秘密だった。オランダ語も英語も得意とはいえない上田は、同僚やコーチ陣、スタッフと親密な関係を築けていなかったが、年齢の近い日本代表のチームメイト(上田は1998年生まれ、渡辺は1997年生まれ)が入団したことで、笑顔が増えた。
ふたりはよく行動を共にし、買い物や食事に出掛けているという。また先の日本代表のブラジル戦では、上田が逆転ゴールを決め、渡辺は何度も見事な守備を披露し、どちらも歴史的な勝利に大きく貢献をした。
それから、なんといっても、ロビン・ファンペルシ新監督の存在だ。

