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そりゃフリーマンも頭を抱える…ドジャース大谷翔平3発+“7球種で6イニング制圧”はPS100年史で破天荒「投手の1戦2本塁打以上は“惑星ベスト”」
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広尾晃Kou Hiroo
photograph byMediaNews Group/Pasadena Star-News via Getty Images
posted2025/10/20 17:02
ナ・リーグ優勝決定シリーズ第4戦で衝撃の二刀流を見せた大谷翔平。フリーマンらドジャースの仲間も頭を抱えるのも当然の偉業だった
〈8回表〉ベシアに代わってマウンドに上がったトライネンが1死一・三塁のピンチを作りバンダに交代。二ゴロの間に1点を返される。
《ドジャース5対1ブルワーズ》
〈8回裏〉ドジャース得点なし。
〈9回表〉佐々木朗希がマウンドへ
4番コントレラス:1-2から中前打 無死一塁
5番ボーン:0-1から右直、パヘズが捕球 1死一塁
6番フレリック:0-1から二ゴロ、二塁エドマンから遊撃ベッツにボールが渡りコントレラスを二塁で封殺。2死一塁
7番ダービン:初球を打ち深い右飛。パヘズが捕球。ゲームセット
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佐々木のフォーシームの最高速は159km/h、回転数は2192rpm、9球(ストライク8)で締めた。フォーシーム5球、スプリッター4球。ドジャースが5対1でブルワーズを下し、ワールドシリーズ進出を決めた。
7球種を使い分け…今季の投手・大谷の集大成
大谷は100球ちょうどで降板、ストライクは66球と極めて優秀。フォーシームの最速は161.4km/h、回転数は2600rpmに達し、相手打者にはホップして見えていたはずだ。奪三振は10、与四球は3、被安打は2だった。以下は、球種の内訳。
フォーシーム35球、スイーパー21球、カッター13球、スプリッター10球、スライダー9球、カーブ9球、シンカー3球。
大谷は投手復帰後、シンカー、スイーパーと日ごとに球種を試しながら投げていたが、この日は7つの球種を投げ分けて、ブルワーズ打線を制圧した。ある意味で今季の投手・大谷翔平の「集大成」だったのかもしれない。
大谷は10月4日の地区シリーズ、フィリーズ戦に続きポストシーズン2勝目を挙げた。さらに打者としてはキャリアで2回目の1試合3本塁打をマークした。昨年9月19日のマーリンズ戦、大谷は6打数6安打3本塁打10打点、2盗塁という猛烈な打棒を振るって「50-50」を達成するとともに、打率は1試合で.287から.294に一気に上がり、OPSは.978から1.005へと跳ね上がったが、それ以来だ。もちろんポストシーズンでは初めての3本塁打だった。
PSで投手の複数HRは破天荒…“惑星ベスト”も納得
いまさら歴史を紐解かなくても「史上初」「破天荒」「空前の記録」なのはわかっているが、「Baseball Reference」によると、100年超のポストシーズン史で投手がホームランを打ったのは過去21回ある。
しかし、投手としての1試合2本塁打はもちろん史上初。DHでの1本を加えて3本塁打は、過去にベーブ・ルースが2回など11人が12回記録している。なおチームメイトのキケ・ヘルナンデスは2017年10月19日のナ・リーグ優勝決定シリーズのカブス戦で記録している。
「この惑星でベストプレーヤー、ショウヘイ・オオタニ」
ナ・リーグ優勝決定シリーズMVPの発表時、大谷はインタビュアーからこう紹介された。筆者は、もう何があっても驚かない境地だ。我々は間違いなく歴史を目の当たりにしている。
〈ドジャースと大谷特集:つづく〉

