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「最終的にどれだけ稼げたかが選手の価値」異例の“ドラフト10位指名”が下剋上…支配下「12球団最後の指名」→28歳でオールスター選出の波乱万丈
text by

田口元義Genki Taguchi
photograph byJIJI PRESS
posted2025/10/16 11:04
2016年のドラフトでは支配下選手として12球団最終指名だった西口直人。今季はオールスターや侍ジャパン抜擢など飛躍の年になった
結果が伴い、新たな実績も増える。
オールスター初選出。シーズン後半戦には、西口から守護神となった藤平尚真へと、同期入団による「ドラ10→ドラ1リレー」も定着の様相を印象付けた。
50回2/3を投げ、投球回数を大きく上回る70個の三振を奪った。奪三振率は初の2桁超えとなる12.43を残す。自身でもキャリアハイと実感できるパフォーマンスだった。
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16年の楽天のドラフトは、「豊作」と評していいくらいのメンツが揃う。
1位の藤平を筆頭に、2位の池田隆英は日本ハムへ移籍後に力を伸ばした。3位の田中和基は18年に新人王に輝いた。5位の森原康平は、昨シーズンにDeNAの守護神として日本一に貢献した。8位の石原彪は一軍には欠かせないキャッチャーである。9位の高梨雄平は巨人に移籍後も変則左腕として重宝されている。さらに10位の西口の存在が際立つからこそ、より豊作の説得力が増す。
ドラフトの成功例にラインナップされるドラ10は、11月に開催される韓国との強化試合で侍ジャパンに初選出された。今度は日の丸をも背負う存在になろうとしている。
「ドラ10選手」の成り上がり人生は…まだ道半ば
ドラフト10位の成り上がりの野球人生。
まだまだ道の途中――気概は不変なのだろうと、西口に聞く。すると、あぁ……と過去を思い出すように視線を宙に浮かせた。
「最初は意識していて『なんとか負けないように』って思っていましたけど、そこはもう、今はないですね」
矜持に満ちたこの言葉でわかる。
西口はすでに、より稼ぎ、より長くプレーできるプロ野球選手になりつつある。

