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「最終的にどれだけ稼げたかが選手の価値」異例の“ドラフト10位指名”が下剋上…支配下「12球団最後の指名」→28歳でオールスター選出の波乱万丈 

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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posted2025/10/16 11:04

「最終的にどれだけ稼げたかが選手の価値」異例の“ドラフト10位指名”が下剋上…支配下「12球団最後の指名」→28歳でオールスター選出の波乱万丈<Number Web> photograph by JIJI PRESS

2016年のドラフトでは支配下選手として12球団最終指名だった西口直人。今季はオールスターや侍ジャパン抜擢など飛躍の年になった

 無名の西口が早い時期からチャンスを与えられ、ものにしてきた背景。それは、その時々で足りないものを的確に見定め、アップデートできているところにあった。

 18年で言えば、チェンジアップの習得がそれだ。もともと投げられていた球種ではあったが、再現性が乏しく封印していた。

 そのボールが二軍コーチに「抜けがいいからプロでも通用する」と見込まれてから研究を重ねていくうちに、オリックスのエースだった金子千尋の握りに着想を得た。その後、本人からもアドバイスをもらうことによって、試合で使えるレベルまでになる。

中継ぎに転向後も…「貪欲さ」は変わらず

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 先発タイプだった西口が中継ぎに転向した21年は、チームの先輩だった福井優也の助言によりフォークボールで奪う空振りが増え、33試合に登板した。シーズンオフの契約更改交渉で、前年の3倍以上となる1800万円(推定)の年俸を球団から提示された際には、「思考が停止した」と笑っていた。

「想像していたよりすごく多い金額をいただけたんで。『今年みたいに頑張ればもっと給料が上がるんだ』って、モチベーションも高くなりましたよね」

 そこには、結果を残してもなお貪欲さを失わない西口の姿があった。

 22年には、自主トレ仲間である中日の柳裕也から「打ち取るだけじゃなく、意識させるだけでも違う」と、スライダーの活用法を学んだ。ピッチングの幅が広がったことで、この年は61試合に投げ防御率2.26、34ホールドポイントと成績を飛躍させた。

【次ページ】 「進化のヒント」になった和田毅の思考

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