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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「頭に体がついてこない」出雲駅伝5位…駒大“エース候補”号泣の大誤算はなぜ? 監督も困惑「あの展開でダメなら、どういう状況なら走れるのか」
text by

佐藤俊Shun Sato
photograph byYuki Suenaga
posted2025/10/16 11:01
出雲駅伝で3区に起用されたが9位と力を出しきれなかった桑田駿介は、何度も涙をぬぐった
6月の日体大記録会5000m、7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ網走大会の5000mも後半にズルズルと下がっていった。大八木弘明総監督から「メンタルだな」と指摘され、同じような展開がつづくことに桑田自身も危機感をあらわにしていた。
それが駅伝でも起きてしまった。
競った状態で走れなくなるわけは
ランナー集団Ggoatで桑田を指導してきた大八木総監督はいう。
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「桑田は、練習は気楽なせいか走れるんです。でも、ただ練習しているだけ。今回のように駅伝で競った状態で動かなくなるのは、明らかに気持ちです。キツくなると気持ちが逃げてしまう。甘えているんですよ。そこが谷中との違いです。谷中は離れてから頑張れる。
桑田は、まだチームのためにという気持ちがないので、その気持に切り替えていかないと駅伝は走れない。負けても『俺はダメだ』じゃなく、『ちくしょう、悔しい、もっとやれたはず』という気持ちでやらないと」
あれで走れないなら、どういう状況なら走れるのか
藤田監督は、桑田の状態に困惑していた。
「なんで、あんな走りになるのか、ちょっとわからない。展開的にひとりで行っているわけではないですし、鈴木君と一緒でしたが、能力的に同じペースでいけるはずなんです。でも、その状況で離れたのはちょっと深刻かなと。
突っ込んでキツくなって離れたわけじゃないですからね。あれ以上の展開は逆にないので、それで走れなかったら、どういう状況だったら走れるのかということになってしまう。そこは、これから慎重に検証していかないといけないですね」
桑田が今回、はじめて駅伝を走るような選手であれば、ここまで苦言を呈されることはないだろう。桑田は1年時、関東インカレの5000mで13分49秒69の自己ベスト(当時)で5位に入って鮮烈なデビューを飾った。1年から出雲(1区6位)、全日本(2区17位)、箱根(4区4位)と3大駅伝を走り、Ggoatでは鈴木芽吹らと世界を目指して練習をしている次代のエースなのだ。
いったい、何が起きてしまったのか——。
〈全2回の1回目/つづく〉

