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「余計なストレスは走りにマイナス」雑用は4年生まで全員で…出雲駅伝“古豪の復活”を生んだ「プチ改革」のウラに“化けた4年生主将”の存在アリ

posted2025/10/15 17:00

 
「余計なストレスは走りにマイナス」雑用は4年生まで全員で…出雲駅伝“古豪の復活”を生んだ「プチ改革」のウラに“化けた4年生主将”の存在アリ<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

学生三大駅伝で久しぶりに優勝争いに絡んだ早稲田大。アンカー・工藤慎作がゴールテープを切った

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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Yuki Suenaga

「見せ場は作れたんじゃないですかね」

 早稲田大学の花田勝彦監督は出雲駅伝のフィニッシュ直後に、静かに興奮した感じでそう話した。

 駅伝初戦で2位。早稲田が学生三大駅伝で3位以内に入ったのは2018年の箱根駅伝が最後で、出雲となると2011年以来となる。花田監督は手ごたえをこう話す。

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「レース前に『先頭争いをする』『区間賞を取る』ということを目標に掲げていたので、それが達成できたことは大きいです。2区で山口智規が区間賞で先頭に立って、3区、4区、5区の1年生3人が先頭争いのなかで走ることが出来ました。最近、早稲田はなかなか先頭争いには加われなかったので、中身が濃かったです」

“古豪”復活の鍵になった「4年生キャプテン」

 前向きな評価を裏づけるように、早稲田の選手たちは明るかった。だいたい、駅伝で2位の学校というのは、落ち込んでいる場合が多い。「2位では喜べない」というムードがある。ところが、今回の早稲田は、自分たちは戦えるという手応えを感じたようで、笑い声があふれた。

 復活の鍵は、4年生のキャプテン、山口智規にある。

 今年、山口は化けた。

 出雲の2区でも、ギアを上げた瞬間の走りには、躍動感、解放感があり、感動すら覚えた。

 成長のカギは、箱根駅伝が終わってからのオーストラリアでの練習にあった。山口は単身、世界のトップ選手たちとの練習に加わり、世界を視野に捉えるようになる。

【次ページ】 レースでのムラがなくなり、エースの風格が…

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