甲子園の風BACK NUMBER
大阪桐蔭が2年ぶりの秋大阪大会制覇…“楽しむ→愉しむ”への変化の意味は?「しぶとい」常勝軍団は帰ってきたか「ここはひとつの通過点なので」
posted2025/10/15 11:02
秋季大阪大会を2年ぶりに制した大阪桐蔭ナイン。かつての「常勝軍団」は甲子園に戻ってこられるだろうか?
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沢井史Fumi Sawai
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Fumi Sawai
雨上がりの柔らかい夕陽が三塁側ベンチを照らす。
優勝を決めた瞬間、大阪桐蔭ナインは穏やかな表情を浮かべながらベンチを飛び出した。
2年ぶり13度目の秋の大阪大会優勝。とはいえ苦しいゲームだった。
シーソーゲームになった決勝戦
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近大附属を相手に初回に2点を先行するも4回に2死走者なしから同点とされ、5回も2死走者なしから2点を勝ち越された。直後に追いつくも、7回以降は激しい点の取り合いとなった。チームを率いる西谷浩一監督はこう振り返る。
「苦しいところをみんなで辛抱して(好機に)1打出ただけですけれどね。もっとしっかりやらないといけないところはありますが、新チームなのでまだまだ経験不足。色んな経験ができたことは大きかったと思います」
先発のエース右腕・吉岡貫介(2年)は、最速152キロの速球だけでなく、球の回転数が2600回を数え、球のキレでも勝負できる。準決勝の金光大阪戦では7回まで完全試合ペースで相手打線を封じるなど快投を重ねていたが、この日は雨でぬかるんだ足元を気にしながらのピッチングとなり、なかなか制球が安定しなかった。
6回途中で7四死球を与え、4安打4失点で降板。西谷監督は「こういう時もありますんでね。みんなでカバーできたことは大きかったです。去年はね、ここで負けてしまったので、それよりひとつ上に行けたということで、近畿大会ではしっかりやりたいと思っています」と表情を引き締めた。
昨秋は決勝で履正社に3-8で敗れて、秋の大阪の頂点に立てなかった。2位で出場した近畿大会では、初戦で滋賀学園に2-3で敗れ、センバツ出場を逃した。今夏は大阪大会決勝で東大阪大柏原に延長タイブレークの末、5-6で惜敗。大阪桐蔭が春も夏も甲子園を逃したのは、2019年以来6年ぶりだった。

