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ドジャース佐々木朗希「これぞクローザーの仕事」は「アメフトのおかげ」!? 現地のNHK解説者が見た「厳しい場面で」「連投」できた意外なワケ
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小早川毅彦Takehiko Kobayakawa
photograph byGetty Images
posted2025/10/08 17:40
フィリーズとの地区シリーズ第2戦でセーブを挙げ、好守備を見せたフリーマン、マンシーらと喜ぶ佐々木。彼のクローザー登板を可能にした外部要因とは?
ここにまたひとつ環境的な要因があって、今のMLBのルールでは、リリーフ投手は3人の打者と対戦するか、あるいはイニング終了まで投げないと交代できません。ワンポイントリリーフのようなことはできないんです。もし投入したリリーフが不調だったら、取り返しのつかないことになるかもしれないわけです。3点差で登板して、3人に投げているうちに同点になってしまうかもしれない。そして、ポストシーズンはまさに取り返しがつかないことになってはいけない戦いです。
不調のトライネンも3人投げないと交代できず……
トライネン投手は全体的に球が高くて、決め球のスライダーも曲げよう曲げようとしているせいか制球が定まらず、見極められてしまいました。投げなければいけない3人に3連打で1点差に迫られて、べシア投手を投入しますが、彼も直球が高めに抜けて、球威がありませんでした。それこそ取り返しがつかなくなりそうなところを、どうにか3人に投げて2死一、三塁までこぎつけ、たまらず佐々木投手登場となったわけです。
この場面、現場で見ていた限りでは、おそらく、何アウトになったらいくぞ、みたいな明確な指示が佐々木投手には伝えられていなかったと思います。ブルペンでも「行くの? 行かないの?」みたいな雰囲気もありましたが、監督が出てきたので「ああ、行くのね」と。そこから2球でしたがよく抑えましたね。ポストシーズンのこの状況に至れば、とにかく内容よりも結果ですから。
「これぞクローザー」の起用法では?
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ピンチの火消しをしてゲームを締めるという結果を出した。これこそクローザーの起用法ですよね。一方、この日の結果で、トライネン投手をつぶしてしまったというか、この後使いにくくなった。勝利はしたものの、そういう犠牲も払ってしまいました。お話ししてきたような周辺状況も作用してこうなったわけですが、この教訓を活かすなら、もう「クローザーは(ポストシーズン限定で)佐々木投手で」ということを強く申し上げたいですね。
さて、また佐々木投手のことばかりお話ししてしまいましたが、後編では彼の登板に至るまでのドジャースの戦いぶりについて、私がもっとも注目したポイントを解説したいと思います。
〈つづく〉

