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凱旋門賞“まさかの14着惨敗”クロワデュノールの敗因を探る「馬場でも、臨戦過程でもなく…」“日本馬最先着”5着ビザンチンドリームは「型を貫いた」
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島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAFP/JIJI PRESS
posted2025/10/06 17:00
凱旋門賞を制した地元フランスのダリズとミカエル・バルザローナ。3頭が出走した日本馬の最先着はビザンチンドリームの5着だった
今さら言ってもせんないタラレバではあるが、どうせ3コーナー手前で先頭に立つことになったのだから、多少ペースが速くなっても、序盤から馬の行く気に任せて行き切ってしまうという選択肢もあったのではないか。自分もキツくなるが、追走する他馬にもそれなりの負荷をかけることができたはずだ。
もちろん、そうすれば勝てていたかもしれないなどと言うつもりはない。
ただ、こうしたタラレバを言いたくなるくらい、応援している私たちも悔しかった、ということだ。
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こんなに負ける馬ではないはずなので、今後に期待したい。
5着に善戦…ビザンチンドリームが貫いた「自分の型」
16着のアロヒアリイ(牡3歳、父ドゥラメンテ、美浦・田中博康厩舎)は、ドーヴィルのギヨームドルナノ賞で重賞初勝利をマークしてここに臨んできた。父がドゥラメンテで、母の父が凱旋門賞で2年連続2着となったオルフェーヴルという爆発力のある血統だけに楽しみにしていたのだが、及ばなかった。それでも、成長期にフランスで力をつけながら、本番まで十分な間隔のあるドーヴィルの前哨戦を使うという新たな形のチャレンジを見せてくれたことには大きな価値があると思う。
5着のビザンチンドリーム(牡4歳、父エピファネイア、栗東・坂口智康厩舎)は、外の15番枠から1馬身ほど出遅れ、少しずつ内に進路を取ってコースロスなく進んだ。道中は中団の後ろの内で脚を溜め、最後の直線でもスムーズに最内を通り、一瞬、突き抜けるかに見えた。が、前で叩き合うダリズとミニーホークから5馬身以上離されてしまった。それでも、いわゆる「脚があれば勝てる競馬」はできていた。
手綱をとったオイシン・マーフィーは、「内の馬場がすごくいい状態だったので、そこを使おうと思っていた。馬場が緩かったので切れ味が削がれた」と話している。
この馬の場合、もともとスタートが速くないので、毎回、他馬を先に行かせてから進路を決めることになる。前哨戦のフォワ賞も、そうした「自分の型」のとおりの競馬をし、ヨーロッパの馬と見紛うような馬群の割り方をして勝っていた。
本番の凱旋門賞でも同じように、後ろから行って内を通る、「この馬にはこれしかない」という競馬をした。ほかに選択肢がないことを逆手に取って「自分の型」を完成させ、貫いた。それがフランスでも通用した、というのが好走の理由ではないか。

