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[凱旋門賞速報]クロワデュノールほか「気まぐれな空模様に阻まれて」
posted2025/10/09 09:00
クロワデュノール Croix du Nord
text by

片山良三Ryozo Katayama
photograph by
Photostud
前日の雨から一転、レース当日を快晴で迎えたパリロンシャン競馬場。だがそれも束の間――。出走直前になって突如激しく降り出した雨粒は、日本馬たちの行く末を暗示していた。現地での前哨戦をそれぞれ制し、「日本初」の期待を背負って挑んだ3頭の奮闘とその結果を記す。
1920年、第一次世界大戦の終結後にフランス、パリ市に創設された凱旋門賞(Prix de l'Arc de Triomphe)は、世界が認める欧州最高の芝の中距離レースだ。その後、第二次世界大戦の影響による2回の中止はあったものの、欧州最高峰の出走馬の質と、10月の第1日曜日という開催日を厳格に守ることで今年104回目を迎えた。
特に記しておきたいのは、過去103回の長い歴史で欧州以外の国で調教を受けた馬の優勝が一例もなかったという事実だ。'60年代初頭までは米国の一流馬の参戦も見られたのだが、芝の2400mというカテゴリーにおける欧州調教馬の強さはまさに圧倒的で、合理主義者が大勢を占める米国の競馬人は、いつしか挑戦そのものをやめてしまっていた。
米国勢と入れ替わるように挑戦を開始したのが日本の調教馬たちだ。'69年のスピードシンボリから始まって、昨年のシンエンペラーまでのべ35頭が挑戦。'99年のエルコンドルパサー、2010年のナカヤマフェスタ、'12、'13年のオルフェーヴルと、惜しい2着が4回もあったが、勝利には届いていない。
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