テレビに映らない大谷翔平:番記者日記BACK NUMBER
真美子夫人と愛娘はもちろん…大谷翔平が語った「ドジャース裏方への感謝」「山本由伸はエース」「カーショウとの日々」こそ素直な気持ち
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柳原直之(スポーツニッポン)Naoyuki Yanagihara
photograph byGene Wang-Capture At Media/Getty Images
posted2025/10/02 06:01
大谷翔平は地区優勝後のシャンパンファイトで、山本由伸や裏方の人々の貢献度と感謝を口にした
拍手を送りながら頭をポンポンと叩くなど、嬉しそうにベンチで出迎える姿が印象的だった。チームはカーショーが同点の9回にリリーフ登板するなど勝利への執念を見せ、延長11回の死闘を制した。2位パドレスが敗れたため、地区優勝マジックは2つ減って「1」になった。
そして地区優勝マジック1で迎えた25日。先発の山本が試合をつくり、大谷がバットで勝利を決めた。4-0の4回1死三塁。右腕ナビル・クリスマットの低めボールゾーンのチェンジアップに崩されながらも右手一本で拾い、打球は右中間フェンス後方にあるプールスイートへと飛び込む「プールショット」になった。ナ・リーグ最多のフィリーズ・シュワーバーに2本差に迫る54号2ラン。
救援陣の不振などで8月には宿敵パドレスに今季最大9ゲーム差を逆転され、108日ぶりの首位陥落も経験したが、6月に投手復帰した大谷が投打で地区優勝の立役者となった。
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序盤から大量リードを奪う展開で勝負は決し、日本から持参したずぶ濡れ対策のレインコートを準備した。このレインコートは昨季は地区優勝からワールドシリーズ(WS)制覇まで、4度のシャンパンファイトを取材した全てで使用し、験を担いだものだ。
シャンパンファイト中に語った“支え”
試合終了を記者席から見届けると、すぐにクラブハウス前に向かい、報道陣の列に並んだ。通常通り、報道陣が入る前にクラブハウスではいち早くシャンパンファイトがスタート。私はレインコート姿のまま中継映像や日本から送られてくる映像で様子を確認。大谷は仲間たちからビールやシャンパンを次々にかけられ、目を開けていられなかった。冒頭から「MVP! MVP! MVP!」の大合唱が湧き起こると、小さく両手を上げて笑みを浮かべていた。うれしかった。照れくさくもあったようだった。
中盤になると報道陣の入室が許可され、タイミングを図りながら始まった大谷の囲み取材。報道陣がごった返す中で“奇跡的”に真横を確保できた。
「今年は4月に長女が誕生して家族としても喜ばしい優勝になった。家族や周囲への感謝については?」と質問すると、大谷は柔和な表情を浮かべた。
「球場以外の面でもいろんな人に支えてもらっているので感謝したい。球場の中もフィールド以外のところでも、本当にいろいろなところで支えられている日々が続いている。まだもう少しだけど、そういう裏方の人たちと一緒に頑張りたい」
真美子夫人、生後5カ月の愛娘、愛犬デコピンへの思いを聞きたいと思っていたが、答えを聞いて反省した。言わないのは照れくささがあるとはいえ、家族への感謝の気持ちがあるのは当然のこと。プライベートと野球は完全に切り離したいと思っているからだ。
“裏方”への感謝、エース由伸への称賛
それより、大谷は普段はクローズアップされない“裏方”に感謝を伝えたかった。

