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「両親は私を会社員だと思っています」誰にも気付かれずにプロレス転身…スターダム・さくらあや29歳の“反骨精神”「玖麗さやかがめちゃ評価されて…」 

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原悦生

原悦生Essei Hara

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posted2025/09/26 17:05

「両親は私を会社員だと思っています」誰にも気付かれずにプロレス転身…スターダム・さくらあや29歳の“反骨精神”「玖麗さやかがめちゃ評価されて…」<Number Web> photograph by Essei Hara

スターダムで活躍するさくらあや。今年3月に他団体のベルトを獲得し、さらなるステップアップを目指している

「当時、若手練習があってジュリアさんが見てくれて。自分は筋トレとかはしっかりやるタイプ。ジュリアさんは厳しいけれど、できてる子には『ちゃんとできてるよ』と伝えてくれるんです」

 ジュリアのまっすぐさが、さくらに伝わってきた。

「ジュリアさんは常に何かと戦っている。その姿に惹かれました。私も結構そういうタイプ。何かと戦っている。その時その時の状況に満足していない。だから、頑張れる。人間としてのエナジー、エネルギーが強い。最初はそれを押し殺していたんですけれど、口にすると、どんどんそう思えてくる」

「プロレスを続けていけるのか」デビュー後の葛藤

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 だが、デビューから3カ月経った7月に腰を痛めてしまう。

「デビューしてすぐに腰をケガしちゃって、欠場中は心が苦しかった。いろんなことがあって、プロレスを続けていけるかもわからない。悔しさもあるし、とにかくプロレスに関わらないようにしていた。ケガそのものというよりも、ケガをした状況だったり、この会社に自分の命を預けられないなと思った」

 欠場中はほとんどを家で過ごした。ジムに行っても、腰に響いた。だが、さくらはプロレスを続けるという結論に至った。

「結構まじめだと思う。集合時間も絶対守るし、撮影も誰よりも早く行っています。アクションって1時間前集合だったんですよ。そういうのを叩き込まれてきたから、最近、まじめって言われることが多くて。ああ、まじめなんだ、と思うようになりました。あと不器用ですね、すごく。空手の時もアクションの時も、人がすぐできることでも何度も練習しないとできなかった。それをわかっているから、練習する。人よりダメだという自覚があるから、ちゃんと人より練習するようにはしている。みんなと同じ練習量だったら、さくらあやはもっとダメだよ」

「私はコズエンにいる意味があるのかなと…」

 ケガから復帰したさくらは、次第に頭角を現していく。今年3月19日には、国立代々木競技場第二体育館で行われたセンダイガールズプロレスリング(仙女)のビッグマッチでChi Chiの持つワールドジュニア王座に挑戦。ジャーマンスープレックスホールドで勝利し、初戴冠を果たした。

「正直、自分のプロレス人生にベルトは縁がないだろうなと思っていたから、不思議な感じでした。スターダムは同期がいっぱいいるから、どうしても順番待ちとか、“この子の方が推されているな”というのがある。目立てていないから、他団体に行って頑張りたい。そんな反骨精神の結果がベルトなんです。一人で他団体に行って手に入れたベルトだから、達成感がありました」

【次ページ】 「歳を取るのが怖かった。でも…」29歳のリアル

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