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“フェリス卒お嬢様タッグ”も結成…人気女子レスラー・桜井麻衣が“狂乱の貴婦人”から変化した理由とは?「意外と人の言葉をよく聞くタイプ(笑)」
posted2025/09/28 17:03
マリーゴールド看板タイトルの1つ、ユナイテッド・ナショナル(UN)王者の桜井麻衣
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
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Norihiro Hashimoto
“何もできない”新人が“団体の顔”になるまでの4年間は、決して平坦ではなかった。成長を促したのは、いくつもの出会いだ。
女子プロレス団体マリーゴールド所属の桜井麻衣は現在、団体の看板タイトルの一つであるユナイテッド・ナショナル(UN)王座を保持している。
中高大10年間、私立の女子校育ちの“お嬢様”が、芸能活動を経てプロレスへ。アクトレスガールズで2020年に選手デビューし、翌年からスターダム参戦。同時進行でミスFLASHのファイナリストになっている。
「なあ桜井、泣いてもいいかな?」ジュリアからのメール
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昨年、スターダムを退団すると新団体マリーゴールドの旗揚げメンバーとなった。師匠格であるジュリアも一緒だった。ジュリアのアメリカ・WWE入りに伴うマリーゴールド退団の際には、桜井が壮行試合の相手を務めている。
師弟関係の始まりはスターダム時代。参戦したばかりの桜井はジュリアとシングルマッチで対戦し、何発となく張り手を食らいボコボコにされた。
最後のバックステージでは、何もできなかった悔しさで泣きながらコメント。ジュリアに「泣くな!」と叱責された。憧れの選手はジュリアだと言うと「それも2度と言うな」。当時の桜井はジュリアのDonna Del Mondo(DDM)とは違うユニット、コズミック・エンジェルズ(コズエン)に所属していた。
「コズエンのリーダーは中野たむさんで、ジュリアさんとはバチバチ(のライバル関係)だったのに(苦笑)。そんな爆弾発言をする私に対して、ジュリアさんは“面白いやつだな”みたいに思ってくれてた気がします。でも“あいつ(たむ)が嫉妬するよ”って、私の思いを受け流すところも潔くてカッコいいなと思いました。
あの時、たむさんに対してデリカシーのない事を言ってしまったけど、でもジュリアさんに憧れてると本当の気持ちを言ったからその先に繋がったんだと思います。本音を言ってなかったら、たむさんともジュリアさんとも、深い関係性は築けてなかったのかなって」
対戦の少し後、ジュリアは首の負傷で長期欠場に入る。開催中のリーグ戦も途中棄権となった。
「その時にジュリアさんがXで私にこう呟いてたんです。“なあ桜井、泣いてもいいかな?”って」
バックステージで叱責したことへのフォローにもなっているが、それ以上に新人選手に弱い部分を見せたことが意外だ。桜井自身も驚いたという。
「しかも私はユニット外の人間でしたから」

