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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「“容赦ないクビ宣告”が若手に危機感?」阪神タイガース“独走”は続くのか…他球団が恐れる“阪神二軍の育成方針”「期待の23歳を戦力外に」
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西尾典文Norifumi Nishio
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/09/26 11:06
圧倒的な強さでセ・リーグを制した阪神タイガース
今シーズンの阪神二軍のチーム成績は、9月25日終了時点でウエスタン・リーグ6チーム中3位となっているが、明るい材料と言えるのが若手野手の充実ぶりである。現在二軍でチームトップの数字をマークしている選手と在籍年数、2025年度の満年齢を並べてみると以下のようになった。
打席(342打席):佐野大陽(1年目・23歳)
安打(81安打):佐野大陽(1年目・23歳)
本塁打(8本塁打):井上広大(6年目・24歳)
打点(36打点):山田脩也(2年目・20歳)
盗塁(33盗塁):福島圭音(2年目・24歳)☆リーグ1位
犠打(10犠打):山田脩也(2年目・20歳)
※データは9月24日時点
この他、安打数では高卒3年目の井坪陽生が72本、高卒2年目の百崎蒼生が70本と続いている。井坪はすでに一軍デビューも果たしており、他球団を見ても若手がこれだけ成績を残している例は少ない。佐野、山田、百崎は内野手、井上、福島、井坪は外野手とバランスも良く、あらゆるポジションの備えができていると言えるだろう。
「二軍は次のレギュラー候補を育てる場」
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今シーズン、二軍の試合を視察している他球団の編成担当はこう話している。
「数年前までの阪神の二軍は、一軍で少し結果を残しながらも定着できなかった中堅選手が多い印象でした。新人王をとった高山俊を筆頭に江越大賀、陽川尚将、中谷将大などがそうですね。ただ、ここ数年で彼らを一掃して一気に若返りました。日本では他球団に移籍して活躍するとファンから非難されることも多いのですが、それを恐れずにやった結果だと思います。
特に驚いたのが昨年オフに退団した遠藤成ですね。(当時)23歳とまだ若く、二軍でも出塁率.392、30盗塁と結果を残していたにもかかわらず、自由契約にした。レギュラーを奪うのは難しいと判断したのだと思いますが、昔の阪神では考えられません。二軍は一軍選手の調整や中堅選手のためのものではなく、次のレギュラー候補を育てる場だという方針に振り切ったように見えました」
ちなみに江越はトレードで日本ハムに、陽川は現役ドラフトで西武に移籍したが結果を残せずにともに昨年限りでユニフォームを脱いでいる。高山はオイシックス新潟で現役を続行しているがNPB復帰はいまだ実現していない。育成選手としてオリックスに移籍した遠藤も今シーズン中の支配下昇格とはならなかった。
さらに、まだ力のありそうな中堅やある程度の結果を残した遠藤を放出したことは他の効果もあったのでは?と前出の編成担当者は続ける。


