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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「“容赦ないクビ宣告”が若手に危機感?」阪神タイガース“独走”は続くのか…他球団が恐れる“阪神二軍の育成方針”「期待の23歳を戦力外に」
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西尾典文Norifumi Nishio
photograph byHideki Sugiyama
posted2025/09/26 11:06
圧倒的な強さでセ・リーグを制した阪神タイガース
「阪神は二軍戦でも多くのお客さんが入りますし、ある意味で選手の注目度の高さは12球団でもトップと言えます。そのようなこともあって二軍の選手も勘違いしてしまうところがあるのではないでしょうか。ただ、そこそこの実績でも戦力外や現役ドラフトに出されたことで危機感を覚えた選手も多かったはずです。これまで二軍でのプレーが多かった小幡竜平や高寺望夢が今年一軍で結果を残したのも、そういった効果があったのかもしれませんね」
二軍は育成の場ではあるものの、プロである以上は結果を残すことができなければ容赦なく戦力外となる。その事実を“言葉”ではなく、“姿勢”で示したことで正常な競争原理が働くようになった。二軍でここまで若手を積極的に起用している球団は少なく、ドラフト5位ルーキーの佐野が打席数と安打数でチームトップの数字をマークしていることもそれを象徴していると言える。
命運を握る2人のキーマン
ここまで阪神の野手の層の厚さを紹介してきたが、その中でもチームの未来において重要な存在になりそうなのが、井上広大と山田脩也の2人だ。
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井上は2019年に履正社からドラフト2位で入団。二軍では2022年には最多安打、昨年は首位打者を獲得するなど結果を残し、一軍でも3本塁打を放ってブレイクを予感させた。しかし今年は一軍でわずか1試合の出場にとどまり、再び二軍暮らしが長くなっている。今後、主砲の佐藤輝明がメジャー移籍という話が出てくる可能性も高いだけに、何とかその前に一軍定着を果たしたいところだ。
一方、山田は2023年のドラフト3位で仙台育英から入団し、1年目から二軍102試合に出場。軽快なショートの守備とスピード感あふれるプレーに対する評価は高い。ただ、打撃は今年も二軍で1割台と課題が多いことも事実だ。一軍のショートは木浪聖也が今年31歳でベテラン、小幡も25歳と中堅と呼ばれる年齢となっている。若手の底上げは必要なだけに山田にかかる期待は大きい。
井上、山田ともに高卒野手としてドラフト上位で入団した選手だけに、彼らが球団の思惑通りの成長曲線を描くことができれば、阪神の黄金時代到来も一気に現実味を帯びてくることになりそうだ。
◇◇◇
後編では、今秋のドラフトの行方を考察している。〈つづく〉



