モーターサイクル・レース・ダイアリーズBACK NUMBER
6年ぶりタイトル王手のマルク・マルケスだけじゃない! 日本勢が揃って今季ベストを狙う日本GPの見どころ
posted2025/09/25 17:01
サンマリノGPで今季11勝目、通算73勝目を挙げたマルケス
text by

遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
今季圧倒的な強さでシーズンを戦ってきたドゥカティのマルク・マルケスが、タイトルに王手をかけた状況で今週末に開催される第17戦日本GPに挑む。
前戦サンマリノGPでは、土曜日に行われる「スプリント」でマルクが転倒リタイアする波乱もあったが、決勝レースではいつものごとく快勝。総合3位につけていたチームメートのフランチェスコ・バニャイアがノーポイントに終わってタイトル争いから脱落し、総合2位につけるマルクの実弟アレックス(グレッシーニ・レーシング)が3位となってマルク以外で唯一タイトルの可能性を残した。
最高峰クラスで兄弟によるチャンピオン争いは初。マルケス兄弟はグランプリ史上にまたひとつ新たな記録を刻むことになった。タイトル決定の条件は、日本GP終了時点でマルクがアレックスに3点差以上をつけていること。現在マルクはアレックスに182点もの大差をつけており、日本GPで最高峰クラス7回目、通算9回目のタイトルを決める可能性が高まった。
ADVERTISEMENT
もてぎで初めてグランプリが開催されたのは1999年のことだった。この年は4月の開催だったが、2000年から03年までの4年間は、春に鈴鹿で日本GP、秋にもてぎでパシフィックGPが開催されていた。
この頃は、ホンダとヤマハ、スズキがタイトル争いを繰り広げ、さらにカワサキも参戦。タイヤメーカーではブリヂストンも本格参戦しており、いまでは考えられないほど観客も多く、盛り上がっていた。しかし、03年の日本GP(鈴鹿)で加藤大治郎の死亡事故があり、以来、日本でのレースはもてぎだけとなった。
もてぎは王者決定の舞台
もてぎで開催される日本GPは9月か10月が多いため、タイトルを決める舞台となることが多く、これまで多くのドラマが生まれた。07年にはMotoGPクラスでケーシー・ストーナーが初めてタイトルを獲得し、ドゥカティとブリヂストンも初めてタイトルを決めたレースとして大いに盛り上がった。
08年にはバレンティーノ・ロッシ(ヤマハ)が最高峰クラスで6回目のタイトルを獲得。14年にはマルクがホンダで2回目、16年に3回目、18年には5回目のタイトルを獲得するなど、日本GPは頻繁に節目のレースとなってきた。この数年、常勝を誇るドゥカティにとっては、07年のストーナー以来のタイトル獲得の舞台になりそうだ。
マルクは「一番大事なのはタイトルを獲得すること。どこのグランプリで決まってもいい」とコメントしてきたが、もてぎはハードブレーキングが連続する得意のサーキットだけに、よほどハプニングがなければタイトル獲得は堅いと見られている。
世界のレースファンの注目はマルクのタイトル獲得に向いているが、日本開催だけに、今季からMotoGPクラスに参戦する小椋藍(アプリリア)の活躍にも注目したい。

