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遠藤記者、危機一髪!…コースサイドで遭遇したMotoGPマシンの激しい転倒と、近年大事故が増えた理由

posted2025/09/12 11:06

 
遠藤記者、危機一髪!…コースサイドで遭遇したMotoGPマシンの激しい転倒と、近年大事故が増えた理由<Number Web> photograph by Satoshi Endo

転倒し、舞い上がった末、金網にぶつかって静止したバスティアニーニのマシン

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遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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Satoshi Endo

 先日、バルセロナで行われた第15戦カタルーニャGPで、ぼくは危うく大きな事故に遭遇するところだった。場所は2コーナーのアウト側だった。

 金曜日の午後、MotoGPクラスのプラクティスセッション終了間際、KTMのエネア・バスティアニーニが転倒。そのときぼくは、ファインダーを通して転倒した瞬間からグラベルを転がるマシンを追いかけていた。マシンはグラベルで止まると予想していたのだが、思いのほか猛スピードでグラベルを転がり、激しく跳ね上がってキャッチフェンス(金網)を直撃したのだ。

 いま、サーキットのサービスロード(関係者用通路)をスクーターで移動する際は、ヘルメット着用が義務づけられている。ガードレールとキャッチフェンスの外側でヘルメットをかぶり、超望遠レンズをつけたカメラを構えていたことで頭にも顔にも怪我はなかったが、時速200kmで転がったマシンが跳ね上げた砂利が、音を立てて筆者に襲いかかってきたときはさすがに驚いた。

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 と思った直後、ぼくがいた場所から5mほど横のキャッチフェンスにマシンが衝突。グシャッという不気味な音を立てて激しく損傷したマシンが金網にぶら下がって静止したのを見たときには、「もし、あそこで撮影していたら……」と背筋が凍る思いだった。

増大した転倒時のエネルギー

 ぼくが撮影していた2コーナーアウト側は、キャッチフェンスとガードレールとの隙間に立って撮影できるポイントだった。左コーナーのアウト側。もし、ここでMotoGPクラスのマシンが転倒したら、グラベルを転がってこっちに飛んでくるかもしれない。そう思ったのは、前戦ハンガリーGPのMotoGPクラスの予選で、転倒したペドロ・アコスタのマシンがグラベルで回転を繰り返しながら大きく跳ね上がり、コースサイドの金網を乗り越えてテレビ中継のカメラ台を直撃した事故があったからだ。幸いにもカメラマンに怪我はなかったが、ぼくには衝撃の映像だった。なぜなら、そのカメラ台の近くで撮影したことが何度もあったからだ。

 以前からコースサイドで撮影するときには、撮影ポイントに気をつけなければと注意を払っていた。だが、いまのMotoGPマシンはスピードが速く、グラベルが十分に広くてもどこに飛んで行くかわからない。そうした警戒心を強くしていたからこそ、カタルーニャGPでは金網フェンスの外側で撮影していた。それが、大きな事故を回避することに繋がったと思う。

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#エネア・バスティアニーニ
#KTM

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