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「鬼ごっこのようにひたすら逃げて…」世界陸上女子マラソンで7位入賞…“サークル出身”24歳の新星・小林香菜が明かした「スタートダッシュの真相」 

text by

和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph byNanae Suzuki

posted2025/09/25 11:10

「鬼ごっこのようにひたすら逃げて…」世界陸上女子マラソンで7位入賞…“サークル出身”24歳の新星・小林香菜が明かした「スタートダッシュの真相」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

初出場の世界陸上女子マラソンで7位に入賞した小林香菜。レース直後は先頭を引っ張る積極性も見せたが、その戦略の中身は…?

 小林が想像していた以上にスローペースで幕が上がったため、「自分は後半勝負になったら負ける」と判断して、集団を飛び出すことを決めた。

 ただ、これは奇策に出たというよりも、マイペースで行こうという決断に過ぎなかった。

「怖かったですけど、でも、正直絶対に抜かれることは分かっていたので。鬼ごっこのように、ひたすら逃げて、っていう感じでした」

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 もちろん追われる身として恐怖はあった。それでも平静を装って歩を進めた。

高温多湿の酷暑…万全を期した暑熱対策

 スタート時の7時30分の時点で、気温はすでに28度にまで達していた。湿度も72%もあった。大会初日の35km競歩でも多くの選手が蒸し暑さに苦しんでおり、この日も9月とは思えない蒸し暑い一日になりそうだった。

 暑熱対策は万全を期していた。マラソン合宿中には、暖房を入れたヒートルーム内でトレッドミルを走った。レース中は給水所のたびに氷を詰めた帽子を取り替える手筈になっていた。帽子のつばには保冷剤を貼り付けておくという念の入れようだ。ゼネラルテーブル(主催者側が用意した給水所)にも氷があり、必ず氷を握って走るようにしていた。

「練習の時にも氷を握っていました。氷を握っているほうが自分は力が入るんです」

 空には少し雲がかかっており「もっとカンカン照りになると思っていたので」と覚悟していただけに、小林にとって蒸し暑さはそれほど不安要素にはならなかった。

 結局、一度は飛び出したものの3km手前には再び集団に下がった。

 大きくレースが動いたのは8km付近のことだ。スザンナ・サリバンとジェシカ・マクレインのアメリカ勢が、17人いた先頭集団を飛び出したのだ。

<次回へつづく>

#2に続く
「集団の2人か3人を抜けば…」“大学時代は官僚志望”の24歳が世界陸上マラソンで大躍進…小林香菜が振り返る「7位入賞」サバイバルレースの全内幕
この連載の一覧を見る(#1〜3)

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